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芯の強い芸子 ページ23

芹沢さんが鉄扇を下ろしたのを確認すると、私も刀を下ろし番頭さんに向き直った。


「お怪我をさせてすみません、私に手当てをさせてください」

「い、いえっ―――」


かなり怯えた様子で、拒絶してきた。
・・・無理もない、いきなり顔面を何度も叩かれたのだから。


「私は医者ですから・・・それと、依然ここに来た者ですので、ここに入れさせていただいてもいいですか?」

「お名前は・・・」

「天野と申します。依然ここに来た時に手を切った芸子の手当てをした者です」

「ああ!以前お役人の方々といらっしゃった!・・・どうぞお入りください!」


覚えていてくれたようで、ほっとした。

芹沢さんの様子をうかがうと、特に苛立ちなどの負の感情は感じられず、こちらに関しても安心した。

部屋に通され、私は番頭さんの手当てのために新八に後を託し、部屋を出た。



―――思いのほか、傷は酷くて止血、消毒がしにくく、時間がかかってしまった。

治療を終わらせたが、おそらく今頃宴会はたけなわ(最高潮)だろう。
そこに素面(しらふ)の私が突入するのもな・・・。


考えた挙句、突入する事にした。
もともと芹沢さんに指名されていたんだし。

部屋の前に着き、襖に手をかけたところで中から膳(ぜん)がひっくり返るような音が聞こえた。

少し隙間を開け中をうかがうと龍之介が倒れており、芸子さんが芹沢さんを睨みつけている姿が見えた。

まだ少女が抜けない芸子さんは、芹沢さんの機嫌を損ねるような事を言ったらしく、他の芸子さんに謝るように諭されても


「・・・嫌どす。うち、間違ったことは言うてまへん」


芯が強く、勇気のある女の子だ―――。
私は緊迫しているこの状況で、彼女に感心していた。

―――でも、世渡りは上手じゃないな。
芹沢さんに口答えをするのは女の子としては得策じゃない。自分や周りを危険にさらすだけ。

案の定、芹沢さんは憤怒に顔をゆがめて手にしていた重そうな盃を芸子の少女に向かって投げつけた。

それは彼女の額に当たり、鈍い音を立てる。
さすがにやり過ぎだと龍之介は彼女をかばうが、芹沢さんは聞く耳を持たない。


私はこのままじゃまずいと思い、屯所へ土方さんたちを呼びに行った。

それで何とか騒ぎは収まったが、盃を当てられた芸子さんはしばらくはお座敷に出れなくなってしまった。

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まんさ(プロフ) - MMさん» 面白いなんて、とても嬉しいです! (2016年3月10日 21時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
MM(プロフ) - どっちも面白すぎて、ヤバイです(^O^) (2016年3月6日 23時) (レス) id: db2d6bf4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - MMさん» こちらも見に来ていただけるとは!ありがとうございます! (2016年3月6日 23時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
MM(プロフ) - 沖田かっこいい(#^.^#)小説めっちゃ面白い! (2016年3月6日 23時) (レス) id: db2d6bf4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - はるかさん» ご指摘ありがとうございます!本編では"総司"のままだった気がしたのでそのままにしたのですが・・・。一応直しておきます!これからもこの小説を温かい目で読んでやってください(´ω`) (2015年3月25日 7時) (レス) id: 647a4018e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まんさ | 作成日時:2014年8月14日 22時

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