恍惚 (ページ12)

今日:9 hit、昨日:55 hit、合計:203,486 hit

・ページ12

．

家の前に着くと部屋には明かりが点っていて

鳥肌が立った。

「終わった…」と呟くけど、時既に遅し……

．

そういえば最近、

わたしが残業あるってメッセージを送った日は
毎日家に来てたもんな…

なんで忘れてたんだろ…

わたしの記憶にケアレスミスがあった。

．

一応、香水を臭くならない程度にふりかけて

「ただいま～」

なんてマークの靴を見た瞬間に酔いが回ったくせに

平静を装って出陣する。

『ヌナ！おか…』

「何してた〜？晩ご飯食べた？」

『ヌナ』

「ん？」

低い声

真っ黒なマークが振り返る

『こっちおいで？』

手招きされて

甘えたい気分のわたしは
自ら罠にかかりに行った。

腕の中に収まると、酔いが限界を迎えて
甘えたくて甘えたくて仕方ない。

「んん〜！うりえぎ〜ぃ……」

可愛くないのによく愛嬌なんてするよな

なんて思われてたらどうしよう……

普段は気にならないマークの反応が気になって

少しだけ見上げると

いきなりキスされて

『わぉ… こっちまで酔うわ』

『こら、どれくらい飲んだの？』

答えたいけど、ずっとチュッチュされる…

「ほ、んの少し、！」

ようやく離れてくれたから答えたら

次は可愛く睨まれる

『ヌナのことだから結構飲んだでしょ？』

「えへへ」

『ほんっとに…』

「わたし、どうしようもない…？」