21話 ページ21
じゃあ、と小南が口を開く。
「そのブラックトリガーはなんなのよ。あんたが持ってたんでしょ？」
どくんと心臓が鳴る音がした。
手から力が抜けて、開いた口を一度閉じる。
ゆっくり右手を握って開いた。
痛い、胸が痛い。
「あのブラックトリガーは……」
幼い頃一度だけ
父からプレゼントをもらった。
黒くて固いブレスレットだった。
誰も何も言わない中、私の声だけが響く。
「私の、母です」
今でも覚えている。
それを私の腕にはめた父の表情も
はめたそれの冷たさも。
“いつか分かる時が来る。それまで母さんをよろしくなA”
そう言って私を抱きしめて
すぐに踵を返した背中が遠かったことも。
迅さんを見る。
申し訳なさそうに眉を下げていた。
「……なんで渡したのよ、そんな大事なもの……」
小南が
私を見ながら、意味わかんないと呟く。
レイジさんも烏丸も宇佐美ちゃんも
何も言わない。
「母が……それを望んだからです」
そのブレスレットが母だということは
ボーダーに入隊して
初めて知った。
城戸さんたちがそれを必要としていたことも
呼び出された会議室で知った。
母がいつも
“人の役に立て”と
そう言っていたから
城戸さんと私とを天秤にかけて
城戸さんを選んだ。
そのほうが母は
上手く使ってもらえると思った。
唾を飲み込む。
いつの間にか手が震えていた。
「A」
迅さんが私の前に立つ。
ガツンと殴られた気分になった。
「な、」
なんで
迅さんがそんな顔をするのだろう。
私を殴らない迅さんは
だけどすぐにいつもの顔に戻った。
「例のブラックトリガーはAしか使えない」
私の頭に優しく手を置いて
＿＿＿＿＿＿どうするかはA次第だよ
と
そう言った。
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バターサンド - いつでも更新、待ってます！ (2022年8月27日 9時) (
レス) @page43 id: 2e7d8d77ae (このIDを非表示/違反報告)
バターサンド - 更新やめちゃうんですかね…… (2022年1月7日 10時) (レス) @page43 id: 6f8a91581c (このIDを非表示/違反報告)
ホタル - ただいま更新されているものまで読み終わりました！何故か僕も泣きたくなりました。とても良い作品です、頑張って下さい！ (2021年11月4日 22時) (レス) id: 675fe13a03 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - 読ませて頂きました。なんだか込み上げてくるものが...。更新頑張ってください！応援してます！！ (2021年1月23日 21時) (レス) id: ba5c7b2e62 (このIDを非表示/違反報告)
ダーク(プロフ) - MIELさん» ただいまです( ；∀；)！更新がんばります！ (2017年12月12日 18時) (レス) id: f48000c1c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ダーク | 作成日時：2015年12月12日 23時
