11話 ページ11
どのくらい沈黙が続いたのだろう。
もしかしたら一瞬だったのかもしれない。
迅さんは私の名前を呼んだ。
「分かった。何とかする。……これからどうするつもりだ？」
柔らかい声だった。
出水のように鋭くも
太刀川さんのように不明瞭でもない。
心にスっと入る声だ。
「わたしは……」
『嫌われ易い体質』と無駄に良いらしい運のどっちが強いのか
確かめるために警戒区域に入った。
でも、それも
意味なんかあったのだろうか。
どうせ誰にも嫌われるなら
今までと変わらない。
運がいいことも、そうだ。
私の意思でどうにかなることではない。
「まあ今日は遅いからウチに泊まれ。……明日本部に行くからそれまでに考えとけ」
「っ……わかりました」
立ち上がって迅さんを見る。
顔が見れなかった。
ただ、優しすぎるその人が怖いと思った。
慣れてない感覚が、痛い。
「よーし、行くか」
「……あの、じん、さん」
「どうしたー？」
なんで、私にそこまでするんですか。
頭に浮かんだ疑問が、喉から先に出てこない。
いつの間にかトリガーを強く握り締めていた。
「……わたし、ごはんはいりません」
ここで食べるということは、玉狛第一の三人とも顔を合わせるということだ。
嫌いな相手だからといって、レイジさんはご飯を抜いたりしないだろう。
小南も烏丸も、きっと悪態をついたりはしない。
迅さんが、いるから。
それが
今の私には、耐えられないと思った。
迅さんは
「……そうか。じゃあ後でまた来るから」
そう言って、部屋を出ていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 571人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
バターサンド - いつでも更新、待ってます！ (2022年8月27日 9時) (
レス) @page43 id: 2e7d8d77ae (このIDを非表示/違反報告)
バターサンド - 更新やめちゃうんですかね…… (2022年1月7日 10時) (レス) @page43 id: 6f8a91581c (このIDを非表示/違反報告)
ホタル - ただいま更新されているものまで読み終わりました！何故か僕も泣きたくなりました。とても良い作品です、頑張って下さい！ (2021年11月4日 22時) (レス) id: 675fe13a03 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - 読ませて頂きました。なんだか込み上げてくるものが...。更新頑張ってください！応援してます！！ (2021年1月23日 21時) (レス) id: ba5c7b2e62 (このIDを非表示/違反報告)
ダーク(プロフ) - MIELさん» ただいまです( ；∀；)！更新がんばります！ (2017年12月12日 18時) (レス) id: f48000c1c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ダーク | 作成日時：2015年12月12日 23時
