３drops ページ4
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雨は結局止まなかった。
雨粒と、空を覆った黒い雨雲から逃げるように走ってついたバイト先。
ドアを開けた頃には、見事に全身ずぶ濡れで。
｢へっくしゅん！！！！｣
大声でくしゃみを響かせる俺を見て、同じシフトの人には見事に笑われ、ティッシュを突き出され。
折りたたみ傘、ちゃんと買っておこう…なんて
今日はロッカーじゃなくて、業務用の乾燥機に突っ込まれたクシャクシャの私服を見て
苦笑いした。
.
今日はなんだかお客さんの数が少ない。
室内の営業に、雨って関係あるんだろうか。
ファストフード店なんて
逆に俺みたいに傘を忘れた人が、雨宿りに入ってきそうな気もするのに。
結局のところそんなのはよく知らないけど、まだ外で地面にうちつける雨を見ながら
今日はどっちにしろ暇そうなこの数時間をどう乗り越えようか、
そんなことばかり考えていた
.
｢おいふかだあ！！｣
｢うおっ、ちょっと湧くんおどかさないでくださいよ！｣
｢別におどかしてねーよ(笑)髪の毛濡れすぎじゃね？お前｣
心臓飛び出るかと思った、、
後ろから話しかけて来たのは、バイトでも学校でも俺の先輩にあたる湧くんで。
友達みたいなテンションでよく一緒に話してくれるこの人は
仕事をしている時も相談に乗ってくれる時も頼りになるし、
自分で言うのはなんだけど結構可愛がってくれるから
もちろん俺も湧くんのことは大好き。
八重歯を見せて笑う顔は、雨雲の向こうで光を放つ太陽みたいに、今日もきらきらしている。
｢降られちゃったんですよ〜最悪ですよもう。｣
湧 ｢ふーん、風邪ひくなよ？｣
｢え、湧くん優し、、！｣
湧 ｢お前がいなくなったら俺にシフト入れって連絡くるからに決まってんだろーが！｣
｢やっぱり優しくない！！！！｣
湧くんがいるなら、暇でも今日は退屈じゃなさそう。なんて。
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
