27 drops ページ28
.
｢檜山くん、俺の財布も一緒に持って行ってくれる？｣
檜山 ｢おっけー、先行ってるね俺。｣
湧くんのと自分の分を待ってる間、暇だから檜山くんを少し目で追えば
さっき取った席じゃなくて、真っすぐに給水器へと向かっては人数分の水を持ってくから
やっぱり檜山くんってイケメンだよなあ、なんて思う。
『はいどうぞ、』
｢ありがとおばちゃん！｣
片手で一つずつお盆を持つの、落としそうでまじで怖いんですけど！
人も多いし、ぶつかるのだけは勘弁。
細い通路をなんとか進みながら、テーブルへと向かっていた時
｢、うお！｣
A｢、わ！｣
｢あっぶねー…ありがとうございます…あれ、｣
周りに集中しすぎて、片方のお盆に乗っていたお皿がガタン！と端まで滑って落ちる寸前
うわやっちゃった…！と思ったら、前を歩いてた子が俺の声にびっくりして振り返って、反射的に抑えてくれたお盆。
｢Aちゃん…！？え、っと、怪我とかないっすか？！｣
A｢全然大丈夫…！カレー落ちなくてよかった、｣
ふう、と焦ったように息を吐いて心臓の辺りに手を置くから
そりゃあびっくりさせちゃったよな、って少しだけ反省。
｢ほんとにありがとう、助かりました…！
あー、これからお昼っすか？｣
A｢うん。でも今日はいっぱいみたいだし
席見つからないから、研究室にでも行こうかなって｣
多分研究室は、あのひみつ基地のことだ。
せっかくごはんを食べるのに1人なんて、そんなの俺なら寂しい
｢あの、もしよかったらなんですけど
席空いてるから、来る…？｣
A｢え、いいの…？｣
｢もちろんっすよ！Aちゃんのおかげでカレーも無事になったし…あ、俺の友達も一応いるから嫌じゃなければですけど｣
A｢その友だち、私が行っても大丈夫 なのかな…？｣
｢そんなに人見知りとかじゃないし、多分大丈夫｣
どう？と聞いてみれば、控えめに頷いてくれたAちゃん。
それだけのことなのに、嬉しくて嬉しくて
ああもう、ほんとに俺あの日からこの子のこと好きなんだな。って自覚する。
｢じゃあ行こ！そこ真っ直ぐっす！｣
A｢ありがとう、竜生くん｣
しっかり俺の目を見て笑ってくれたAちゃんに、ドキンと胸は高鳴って
今すぐにでもその手を繋ぎたくて堪らなかったのに
お盆のせいで塞がった両手を、心底恨めしく思った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 524人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
