23 drops ページ24
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｢Aちゃん…？｣
A｢、あ、！えっと、なんだっけ…？｣
｢ここ、なんかすごい部屋だなって思って。
プレート無かったけど、資料室かなにかっすか…？｣
どこか上の空な彼女にそう聞けば、ハッとしたようにやっと視線が合って
聞き返してくるくらいには、この子の頭の中が違う何かで覆われていたんだろうな、なんて。
A ｢あ、えっと、、そうなるのかな…？元々は研究室でもう使われてない場所なんだけど｣
｢へえ…なんか秘密基地みたいでカッコイイっすね！｣
少し薄暗い感じとか、物でいっぱいなところとか。
隠れ家的な、秘密基地みたいな、小さい時に1度は憧れるような そんな感じの場所。
男はみんなこういうとこ好きだろうな〜。なんて考えながら入った時よりもゆっくり見渡していれば、また変わった Aちゃんの表情
A ｢、おじいちゃんと同じこと、言ってる…｣
｢おじいさん？Aちゃんの？｣
A ｢うん、よく言ってたの。��秘密基地みたいでかっこいいだろ��って。
…ここ、研究室として使ってたのは
おじいちゃんだから。｣
｢え、てことは教授だったってことすか？！めちゃくちゃすごいっすね！！｣
おじいさんのことを話しながら悲しそうに笑った顔は、俺がおじいさんのことを褒めた瞬間にくしゃっと本当の笑顔に戻るし
本当に、よくこの子はコロコロ表情が変わる。
天気雨が降ったり、その後に晴れ間が差したり
虹が架かったりする空みたいに。
きっとこんなことを口にしたら、またAちゃんの顔は曇ってしまうんだろうけど。
A｢うん、おじいちゃんだけどかっこよくてね、私にたくさんの景色を見せに色んなところに連れて行ってくれて、…大好きだった。｣
｢なんかAちゃん、おじいちゃんおばあちゃんっ子そうな雰囲気あるもんね(笑)｣
A｢それ褒めてるの？｣
「そりゃあもちろんっすよ！！」
きっと数十分前よりも心を開いてくれている目の前のAちゃんに、やっぱりモヤモヤしてるより来てよかった。って
まだまだ知らないことだらけだけど、毎日ちょっとずつでも距離が縮まってきますようにって
まだほのかに湯気を立てる、Aちゃんが淹れてくれたミルクティーを一口飲んだ。
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
