14 drops ページ15
*
これ、どうしよっかなあ。
持ってきちゃったのは俺だけど、でもなあ…
右手に持った、青いタオル。
それは数日前、海琉が児童館に忘れていったもので。
渡すのは別に次来たときでいいんだけど、今週はもう来ないらしいし…そして何より
｢あ…Aちゃん、！｣
A｢わ、！竜生くん、｣
ごめん海琉、お前のタオル利用して。
ただ、Aちゃんと話す口実が欲しかっただけ、です…。
今度あいつのおやつちょこっとだけ多くしてあげよ、なんて。
｢あの、これ！｣
A｢…？あ、海琉の…？｣
｢そう、この前児童館に忘れていっちゃっててさ。しばらく来ないって聞いたから｣
A｢ごめんね、わざわざありがとう｣
｢えっとー…Aちゃん、このあと暇？｣
お昼ご飯、よかったら一緒に…なんて思ったけど
そううまくはいかなくて
A｢あ、えっと今日は…｣
｢そ、そっか！そうだよね！またね！｣
パタパタと走って去ってしまったAちゃんに、ちょっとだけ切ないな、なんて。
｢うわっ、！｣
｢きゃ！｣
｢なんだ…しずくか。ビビった。｣
｢なんだって、、ひどい。その言い方｣
肩を落として振り返った後ろ、丁度人が立ってて情けない声が出た。
簡単に説明すると、その人物…しずくは
��元カノ��ってやつで。
数ヶ月前に振られて、それからずっと話してない。
別に今更話すことなんてないけど。
目の前に立って動かないしずくに抱いた、ちょっとした不審感。
｢…何？俺行きたいんだけど。｣
｢竜生くん、あの子と仲良いの、？｣
｢だとしたらなんなの？じゃあね、｣
我ながらこんなにも冷たいのもどうかと思うけど、正直未だに腹が立ってることもあって
顔すら合わせたくないのが本当。
せっかくAちゃんに会えたのに。
勝手にイライラしてきた気持ちがこれ以上広がらないように、黙ってしずくの横をすり抜けた。
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
