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48話 ページ11

その瞬間
ミミズだったものは一気に消えていった
消えた反動で降り注ぐ雨は燃えていた常世を鎮火していく

ミミズは土となった

その景色を単純に綺麗だと思ってしまった
あ、地面にぶつかる
そう考えた数秒後に私は地面と触れた


ねぇ、A
私ちゃんと要石を刺せたよ
私たち2人で日本を守ったんだよ
私たち最高のコンビだよね


手に握られていたネックレスを見つめた
ダイジンがそっと私に寄り添う


草「鈴芽さん――」

聞きなれた優しい柔らかい声に名前を呼ばれる
彼のひんやりとした指先が私の頬を撫でた


「草太さん……」


何回も呼んだ名前を口に出す
彼は自身が着ていた白いロングシャツをそっとかけてくれた


草「怪我はない?」


何処にも痛みを感じない体でゆっくりと立ち上がりながら返事をする

草地の中に他のガラクタと混じっている黄色い椅子を見つけて、手に取った

持って初めて気づく違和感
色も傷も記憶にあるよりずっと真新しかった


「あの日津波に流されたこの椅子を――私はここで拾ったんだ」


あぁ、そうだ
あの日の記憶が頭の中で再生されていく
どうして今までで気が付かなかったのだろう…いや、認めたくなかっただけか

ふいに名前を呼ばれる


草「――鈴芽さん!誰かいる!」


「えっ?!」


驚いて彼の視線の先を追う
そこには有明の白い満月に向かって小さな人影が歩いていた

その子供に見覚えがあった
行かなきゃ…そう直感で思う


「私――行かなきゃ!」


草太さんの驚く声に待っててと言うと彼は何も訊ねず、私を見守るようにその場に留まった

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もなか - う"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!結末、採用してくださってありがとうございます...!!!まだ完結していないのにもう泣いてますっ...これからも応援しています!!!! (2023年1月23日 17時) (レス) @page9 id: 3fa804da04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:推しのために今日も生きる | 作成日時:2023年1月15日 15時

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