あのね、代わりになるよ

1話 ページ3

ｶﾞﾀﾝｯ

急にきた大きな揺れ
飛び起きた私は急いでおかあさんの側に行く
お母さんは私をしっかりと抱き締めて走った
でも、元々体が弱いおかあさんは避難場所までは難しい。また来る揺れでお母さんは倒れた
近隣の人たちに私だけを託し下手な作り笑いで私に囁いた

「後から合流するから、今はこの人たちに着いていってな」


『おかあさん！おかｧあさん何処〜！！』
『もう一度抱き締めてや……おかあさんの嘘つき』ﾎﾞｿｯ

そのまま２度と会うことはなかった

―――――――――――――――――――――――

『またこの夢…』

もう何年も前のことを未だに夢にみる
最近その頻度が上がってきている気がする
家も親も無くした僕は祖父母の家でお世話になっていた。けど、僕が高校に上がると同時に祖父が亡くなった

今は祖母と二人で暮らしている
至って平穏に過ごしていた
鈴芽ちゃんっていう友達も出来てそれなりに楽しんでいたはずだ

けど、あと一歩ってところで寄り添うことを怖がっている自分がいる

もし、また地震が起きて失ってしまったら？
今度こそ立ち直れない

2話→←プロローグ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す