「愛してる」と囁いて 【ヴィクトル・ニキフォロフ】

序章 ページ1

一目惚れだった









初めて彼女を見た瞬間から胸は高鳴り









心臓は鼓動をはやめて鳴り止むことを知らない









だから伝えた









「愛している」と＿＿＿＿＿＿＿









でもいつも空振ってばかりで









彼女は一向に振り向いてくれない









ただそれだけなら良かったのに









『ごめんね・・・・ヴィクトル・・・。



もう苦しいの・・・・貴方に愛を囁かれるのが・・・・苦しくてたまらない・・・






私ね・・・・・・・・・・・









ずっと忘れられない人がいるの・・・・・・・・・。』









今にも泣きだしそうな顔で









震えて唇を噛みしめて









本当に苦しそうな声でいう彼女を見ると









深い闇に突き落とされそうになった









いや・・・実際には突き落とされただろう









この世の誰より彼女を愛していると思っていた









いや・・・恐らくはそうであると確信していた









でも肝心なのは誰が彼女を一番想っているかではなくて









彼女が誰を想っているかで









その誰かが俺ではないとわかると









苦しくてたまらない









ただ意識されてないならどんなに良かったか









彼女の中に占める存在がいるなんて









きっと誰よりも幸せな奴だ









俺はたかが一目惚れかもしれないけど









彼女の笑顔に、仕草に、優しさに、









もう彼女の全てに惹かれているというのに









今更ズルいよ









≪恋≫というのが









こんなにも苦しいのなら









こんな気持ち知りたくなんてなかった______________________________

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