【ダイヤのA】大きな背中【男主】

1st.帰ってくる憧れの人 Isashiki side ページ7

そわそわ、ザワザワ

そんな表現が合っているだろう。



Aさんが午後から参加する、と昼食時監督に言われ、皆どこか落ち着きなく動いていた。



会いたい、会いたい、会いたい。

数年前に会ったその日から忘れたことなんて一度もなかった。何度もその影を探してきた。




「......会いてぇよ」




＿ポンッ


ぽつりと零れた言葉のあと、優しくて暖かい手が自分の髪に触れる。


この手って、まさか、


考えるが早く俺は振りかえってその人を視界に入れた。あぁ、あぁ、やっとだ。





『誰に会いたいって？伊佐敷』




「A、さん......」





質問に答えたつもりだったけどAさんは〈突然現れた自分にまだ驚いていて、咄嗟に自分の名前を呼んだんだな〉と思ってるだろう。




『久しぶり。ほんっと髪も背も伸びて。おお、髭も生やしたんだな、似合ってる』





「......アザッス」





＿＿アンタもますます綺麗になったな。

その一言は出なかった。

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