【ダイヤのA】大きな背中【男主】

1st. 帰ってくる憧れの人 NO.side ページ3

何年ぶりだろうか

日本(ここ)に帰ってくるのは＿。


少なくとも高校を卒業してからは全く来ていない。というか、母国のことを思い出す暇もないほど大変な日常を送っていた


空港から出て太陽の光を浴びると、んっと大きく背伸びをする




『......ん、あれか』




足元に置いていた旅行鞄を手に持つと、目の前に駐車された。
そしてゆっくりと助手席の窓が開く




「久しぶりだな、水原」



『お元気そうでなによりです、片岡監督』




サングラスを外してニッと歯を見せるAに、片岡は相変わらずだと小さく笑う。

高校の教え子でこんなに変わらない奴はコイツしか居ない、なんて考えながら。




「荷物は後ろに置け。お前は此処に来い」



『此処にって...あぁはい』



そんなに重くもない荷物を後ろに置かせてもらい、A自身は助手席に乗り込んだ


しっかりシートベルトを付けたのを確認し、片岡は車を走らせる。




「......元気にしてたか」



『...らしくないですね。俺は元気ですよ』




シートに寄りかかってAは目を瞑った。

眠いわけではないが、高校時代に毎日聞いていた声は無意識に落ち着くらしい




『結城達は？』



「お前と同じで元気にやっている」



『ははっ、やっぱりそうだと思いました』




開いたままの窓から、爽快か風が車内を吹き抜けていく。




『(懐かしいな.....)』



Aはゆっくり意識を手放した





運転をしていた片岡は「着くまで寝てるといい」と言おうとAを見る。
だが、彼はもうすっかり規則的な呼吸を繰り返していた後だった。




「......よく帰ってきたな」




彼の風で揺れる髪を撫で、ハンドルを握りなおした。

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