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森さんの家へ着き扉を開くと中から女性が出てくる。
とても柔らかい雰囲気の優しそうな女性だ。




その方は私と芽依を見るや否や俗物を見るかのような目で見てきた。
まぁ、珍妙な格好をしているから仕方がないのだけれど。




?「…鴎外さん、そちらの方々は?」




鴎外「ああ、彼女らは今宵の客人だ。しっかりともてなしとくれたまえ!」




?「分かりました!」




だが、森さんの客人とわかった瞬間からその顔は凄い笑顔になる。
なんとなく可愛い雰囲気を纏う女性だ。




居間へ通されると椅子に座るように促される。
鹿鳴館程ではないがなかなかに広いその建物はどこかの城のように感じられた。




芽依「…広いですね…」




鴎外「まぁ、僕の屋敷では無いがね」



芽依「そうなんですか?」



鴎外「ああ、正式には従兄弟夫婦のものだ。だが、今は家主がでてしまっているため僕が住んでいるのだよ。」



まぁ、結局は森さんの家ということだ。



鴎外「よし、ふたりとももう疲れただろう。部屋へ案内しよう。ほら、春草」



春草「俺もですか?いやです。」



森さんの言葉に間髪入れず断る菱田さん。
言葉と共にとても嫌な顔もついてきている。



鴎外「そういう訳にはいかないのだよ。ご婦人が2人、僕らも2人。ならば、1人が1人ずつ案内するものなのだよ。」



春草「そんなの、鴎外さんが順番に1人ずつ送ればいいじゃないですか。」



鴎外「なんだ、もう1人の方を長く待たせるというのな?そんな失礼なこと日本男子としてできるものか。」



森さんの言うことは最もだが、ここまで嫌がられていると菱田さんに送ってもらいたくはない。歩いている途中に嫌味を言われそうだ。




鴎外「さぁ、では行くぞ。」




一向にYESと答えない菱田さんがめんどくさくなったのか森さんは説得するのをやめて芽依の手をとった。



どうやら森さんは芽依を部屋まで案内するらしい。




鴎外「春草、子ネコちゃんの部屋は2階の一番奥の部屋だ。しっかりエスコートするのだよ」




春草「は!?なんで、俺の隣…!?」




鴎外「何故って、そこが2番目に日当たりがいいからだ!勿論、1番のところは子リスちゃんの部屋だがな。」



ではな、そう言い残し部屋から出ていく芽依と森さん。
菱田さんと共に居間へ残された私のことも考えて欲しい。

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作者名:あおば | 作成日時:2019年5月1日 17時

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