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菱田「………本当はこんなことしたくないけど、見えてないからしょうがなくだ。……ほら」



手に何かが触れた。
少しひんやりとした物が私の手を包む。



「…ちょっ!手…!!」



菱田「俺はキミが怪我したりまいごになったりしたら鴎外さんに怒られるのがめんどくさいんだ。…わかったら、少し落ち着いたら?」



「な、なら、菱田さんの着物の裾を掴ませてください!!」



菱田「は?伸びるからやだよ。」



「そんな力強く引っ張らないし!」



菱田「どうだか」



暗闇のなか、男女2人というなにか起こりそうな展開において喧嘩。
ここまで気が合わない人間も驚きだ。



菱田「とりあえず、階段登り終わるまでこれで着いてきて。異論は聞かないから。」



こちらが言い返す暇もなくそう言い終わると菱田さんはさっさと歩き始めた。



「…そんな早く歩かれたら…っ!!」



だが、普通に歩くものだから私が段差でつまづきそうになる。
いや、普通に足引っ掛けるものだよ。
このスピードなら。



菱田「……っ!!……重」



「……重い?」




転びそうになったところを助けてくれたらしく腰のところに手が回ってきているのがわかる。
感謝はする。助けてくれたことに対して。

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作者名:あおば | 作成日時:2019年5月1日 17時

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