冷静沈着な女医 Ⅶ 【コードブルー】 (ページ7)

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episode90 ページ7

『っ…ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ……』

体温が下がってきたのか､桜坂先生の身体が震えていた

横「桜坂先生…本当に大丈夫ですか？」

私は不安になり声をかけた

『…ｹﾞﾎｯ…うん…』

返事をした桜坂先生だったが､その顔色は嘘でも良いとは言えない顔色だった

横「…桜坂先生､頼りないかもしれませんが､私がやります。…指示ください」

苦しそうなのに､無理してでもやろうとする桜坂先生を見て､私は覚悟を決めた

『…横峯……わかった…』

灰「麻酔もないのに？患者さん､意識あるんだよ？」

狼狽えていた灰谷先生が口を挟むと､桜坂先生が震える指先を倒れているダンボールの方を指さした

『…そこにある…ｹﾞﾎｯ…冷凍された物で患部を冷やして…っ……そうすれば感覚が麻痺するから…』

桜坂先生の指示通り､ビニール袋に詰まったミックスベジタブルを取り出した

横「これなら､いけそう」

－－－－

『…鼠径部から縦に3cm切開して…ｹﾞﾎｯ…』

横「はい。…守口さん､大丈夫ですか？我慢できますか？」

メスを走らせても守口さんは悲鳴をあげなかった

横「すごい。本当に氷で痛みを抑制できてる…」

『……ペアンで脂肪を裂いて…大腿動脈を露出させて…ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ…』

ペアンをぐいっと突っ込んだ瞬間､守口さんが悲鳴をあげた

守口さんの悲痛な叫びを聞きながら､脂肪を切り開いていくが､大腿動脈が見つかなかった

横「…ダメです。…血管､見つかりません…」

『……位置…違う…のかも……もう1回切って…。

もう…少し…鼠径……靭帯に近いところ………』

横「…もう…1度……」

怖くなって桜坂先生の方を振り向こうとした瞬間､ドサッと音がした

横「…！！桜坂先生…！！」

『ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ…っ…ﾋｭｯ……ﾋｭｰｯ…』

唇を紫色にして､苦しそうに息をする桜坂先生が倒れていた