冷静沈着な女医 Ⅶ 【コードブルー】 (ページ26)

今日:175 hit、昨日:284 hit、合計:209,795 hit

episode109 ページ26

手術はどうにか成功し､手洗い場で術衣を脱いだ

藍「助かった」

新「いや､ハイフローバイパスは久しぶりだ。面白かったよ」

藍「…もう言ったのか？」

新「奏ちゃんか？…言えてないよ」

藍「新海。…俺から伝えさせてくれ」

－－－－

あの後新海と別れ､彼女の元へ向かった

奏「え…？先生が手術してくれたんじゃなかったの？」

藍「君の手術をしている最中にICUで別の患者が急変した。桜坂もいたが、彼女も他の患者の対応をしていて俺が行かなければ助からない患者だった」

奏「でも､戻ってやってくれたなら…」

藍「…すまない」

奏「…じゃあ､この手は新海先生のせいなの？」

藍「それは違う。君の腫瘍は周りの脳に食い込んでいて後遺症は避けられなかった。

俺がオペしても今と同じか､それ以上の後遺症が残った。命だって助けられていたかどうかわからない。

新海だから助かったんだ。新海が､君の命を救ったんだ」

奏「私は藍沢先生に手術して欲しかったの！」

藍「そうだ。責められるべきは､約束を破った俺だ」

奏「…先生､酷いよ」

━━━━━━━━━━━━━━━

医者が賭けに負けて､大きな代償を払わされた患者を見て医者は思う。

自分も何かを失うことで､背負った重荷を下ろすことが出来ればどんなにいいかと。

しかし…それは許されない。