冷静沈着な女医 Ⅶ 【コードブルー】 (ページ19)

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episode102 ページ19

受け入れ準備の続きをしてる時､白石から連絡が来た

白「桜坂先生､聞こえる？」

『聞こえる。どうかした？』

白「男性の方が後縦隔に大量出血してる。大動脈の断裂だと思う」

『なら､まず救命は不可能ね。私にやれることはないでしょ』

白「灰谷先生が心マを続けてる。私は他の患者で手が離せない。

灰谷先生に20代女性の搬送を優先させたい。彼女も骨盤の動揺が強くていつ急変してもおかしくない」

『わかった。…諦めさせればいいんだね』

白「お願い」

電話を切った後､急いでCS室に移動しヘッドホンをつけて灰谷のモニターと繋げた

『灰谷､聞こえる？モニターを入れた。心マしてる手を退かして。胸腔内を見る』

そう言うと灰谷は指示通り血まみれの手を離し､カメラを患者の胸に向けてくれた

『灰谷､後縦隔を見て。…大動脈の断裂だよ。

やれることは無い。20代女性の治療と搬送を開始して』

灰谷は心マする手を止めなかった

『灰谷！』

灰「でもっ…中枢側で遮断して､ヘリで翔北に運べばまだ…っ…！」

思い出したかのように灰谷の言葉が詰まった

『…そうだよ。ヘリは飛べない。

そもそも､大動脈断裂じゃ可能性はほとんどない。

わかる？そこに医者は2人しかいない。骨盤骨折の女性も危険な状態なの』

灰「…でも…でも…っ…！」

次の瞬間､胸腔内から大量の血液が溢れ出た

『…大動脈破裂。これで可能性はゼロになった。…灰谷､もう諦めて』

彼は真っ赤に染まった手を胸から抜いた