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お揃い ページ7

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「…富夫ー、もう誰もいないからいつも通りでいいと思うよ」


「……あぁ、うん。」




富夫は無言のまま、互いの家から少し遠い公園まで歩いてきた。

ずっとこちらを見なかった綺麗な顔が振り返る。




「とりあえず、座ろ。」


「んー。」



2人で公園の隅にあるベンチに腰かける。

しばらく何も話だそうとしない富夫に、料理が得意な級友がくれたお菓子を差し出すと、




「これ、今日貰ったから富夫も食べよ。
って、私の話聞けよー」


「……ん、美味しい。」




ふわって、学校で見せるような優しい顔で笑う富夫。

なんで、私の手から食べるかなぁ……。

まあいい、私も食べよう。




「……んまし
それで、なんで私の事呼び出したわけ?」




しばらく無視されてたけど、ボソボソと話し出した富夫。




「……A、明日には千葉行くんでしょー」


「うん、そうだね
……もう明日かぁ、はやいね」


「だね」




そしてまた訪れる無言の空間。




「…………え、そんな話のために呼び出したわけ?」



「違うし。

これ、Aにあげるよ。」



急にぽんと投げられたのは箱が2つ。

中開けたらいいのかな?

なんて思って箱を開けると、ピアッサーとピアスのセット、そしてネックレス




「……え、富夫どうしたの?」


「それ以外に感想ないわけ?」


「え、あ、驚きすぎで言葉間違えた。」


「酷いなぁ〜」




言葉ではそう言いつつも、楽しそうに笑ってる富夫。

あ、完璧にいつもの富夫に戻ってる。




「それね、俺とお揃いなの」




幸せそうな笑みで私を見ている富夫。
それは今まで一緒にいて、きっと初めて見るんじゃないかというくらい、綺麗で、カッコイイ顔だった。




「…富夫?本当にどうしたの?風邪?」


「ひっど〜

……もし千葉に行った時に、Aが浮気したりしないようにね」


「……いや、浮気以前にただの幼馴染みなんですけど。」


「んふふ」


「いや、んふふじゃないよー。」




それから、私が何を言っても笑うしかしなくて、何も彼は答えてくれなかった。

あれかな?
私にとって、幼馴染み(富夫)以上に大切な人ができないよう?
ん?それって私に彼氏出来るなって言ってるんじゃ……


おそらく百面相してたであろう私を見て、笑っている富夫は性格が歪んでいるんだと思う。



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お揃いの意味──sideT.S→←別れの式と呼び出し



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あんず飴 - 伊藤落ちにして欲しいです!!!! (2019年2月12日 0時) (レス) id: e9a1259486 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 相良様今日から俺はの中で一番大好き格好良過ぎ 溺愛されたいって思う位好き(ドラマ終わったら相良様ロスになりそう) (2018年12月4日 5時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moe | 作成日時:2018年6月23日 0時

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