一般人になりたかった【今日から俺は】

彼女の秘密とは──sideS.I ページ23

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数秒前に目の前の大豪邸に入っていった、同じクラスで隣の席の佐々木Aちゃんはなんだか不思議だった。


彼女との関係は、まずあの第一声から変わっていた。


『はろーツッパリくん』


彼女はそう言いながら、楽しそうに俺を見て笑っていた。

何がそんなに楽しいのか、意味がわからなかった

ただ、Aちゃんが他の人とは少し違うっていうのはなんとなくその時にわかっていた。


もちろんそれは当たっていて、昨日･今日と関わって彼女の他とは違う部分が沢山わかった。

まず1つ、彼女はまだ俺たちのことを下の名前で呼んでいないのだ。
これは多分まだ信用されてないからだと思うけど。

2つめは、ちょっと思ったことを言いすぎなんだ。
今朝、三橋に対して言った言葉もそうだけと、佐川たちと駄弁っている姿を見ていても、彼女は何かと口にしている。

その理由は、朝も軽く聞いたけど、それが彼女の秘密と関係あるのか？

3つめは、さっきの彼女との会話で知ったんだけど、家族構成が他とは……というか、俺とは全く違った。
両親をすでに亡くしている彼女は今、伯母と暮らしていると言っていた。
明るくて普通にいい子だから、幸せな家庭で育ったのだと思っていたからそれには驚いた。



あんまり彼女の個人情報を話すのもよくないから、これ以上は話さないけど、この3つだけでも彼女は他とは違った。


そんな彼女の秘密って？

守ってくれる人って、“彼氏”とか……？




「Aちゃんに、彼氏……」



言葉にしてみたら案外重く、俺の心にのしかかってきて、少しだけ、胸が苦しくなった。

それが一体何故なのか、このときは見て見ぬふりをするしかなかった。


だって、もしAちゃんに彼氏がいたら、こんな感情に気づいたって無駄だから。



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伊藤くん好きぴ(古い)


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