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*兄side*

『すごく、頑張ってるから...。』
「ん?」
『野球。もちろんみんな頑張ってるけど。
その人は、去年の夏以降調子崩しちゃったけど、
凄く凄く、頑張ってるから、応援したい。』
「そっか。今年の夏はいい結果がでればいいな。」
『うん。』


話してる間に、稲実に到着。
朝一でチョコを部室に置きに行くらしいから、
野球部グラウンドのそばに車をつける。


『送ってくれてありがとう。』
「おう。ちゃんと好きな奴にチョコ渡せよ。」
『もうっ...。』


断固として好きとは認めないA。
相変わらずからかいがいのある妹だ。

Aが車から降り、荷物を降ろそうとしていると
もの凄いスピードで一人の男の子が走ってきた。


成「おはようA先輩!今日は車で来たの?」
 『!!お、おはよう。』


Aはチョコを見られないようにするためか
後部座席のドアを勢いよく閉める。


成「てか、えっ!?誰このイケメンな人!
 ま、まままさか彼氏!!?」
 『違うし。』


俺は車の窓を開けながら話しかける。


 「どうも、Aの兄で〜す。」
成「お、お兄さん!?A先輩お兄さんいたの!?
 確かに、顔そっくり!!」
 「妹がいつもお世話に。」
成「いやいや、俺がいつもお世話になってます!
 野球部1年の、成宮鳴です!
 あの、A先輩って家ではどんな感じ---」
『ちょっと、あんた今外周中でしょ。早く戻りな。
 また雅に怒られるよ。』
成「だってA先輩のお兄さんと話したいじゃん!」
 『話さなくていいから。早く戻れ。』
成「は〜い。じゃあお兄さん、失礼します!」
 「おう、練習頑張ってな。」


賑やかな男の子だ。
Aのことを好きなのが、だだ漏れ。

というか、Aもこんな顔すんのか。
わりと昔からポーカーフェイスなところがあったが
さっきの成宮君と話してる時は随分楽しそうだった。

大して付き合いのないやつが見たら普段と変わらないと
思うだろうが、17年間妹を見てきた俺にはわかる。


『じゃあね、帰り気を付けて。』
「お前、さっき言ってた相手って成宮君だろ。」
『!?違う!!』


珍しく焦って顔を赤らめている。図星だ。
こいつ、こんな分かりやすいヤツだったのか。


「確かにあの人懐っこさとルックスはモテるわな。
ま、頑張れよ〜〜!」
『だからそんなんじゃないってば!』




プリプリ怒りながら学校に向かうA。
本当、天邪鬼な妹だ。
まあ、そんなところが可愛かったりする。

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作者名:mari | 作成日時:2022年8月12日 12時

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