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あの1年生少女事件の一件から、特に何事もなく時は過ぎ
もうすぐバレンタインの季節。
稲実野球部では、毎年マネージャーたちが
作ってみんなに配るのが恒例。
ただ、マネージャーと言っても現役マネとなるので
去年は雪先輩と二人で作ったけど、今年は一人。
正直全員分となるとかなり大変だ。
だけど来年からはマネージャーはもういなくなるし、
作らないという選択肢は少しかわいそうな気もするので
作ってあげることにした。
もちろん量産型優先なので、大したものではないけれど。
バレンタイン当日---
今日は平日の学校がある日なので、今頃みんなは朝練中だ。
寒い中みんなは頑張って練習してるだろう。
チョコは放課後練習が終わった後に渡すつもりだ。
『お、重.....。』
家を出る時、両手に抱えたみんなに配るチョコが
想像以上に重かった。
いくら家が近いとはいえ、持っていけるかな...。
兄「う〜っす。A、何その大量の荷物。」
眠そうな顔をして二階から降りてきた兄ちゃん。
今は大学生で、今年の4月から就職だ。
もちろんもう就職先は決まっているので
最後の休みを堪能している。
『おはよう、兄ちゃん。部活のみんなにあげるチョコ。』
「ああ、今年お前一人だっつってたな。」
『そんな大したものじゃないけど、作らないのもね。』
「車、出してやろうか？」
『えっ！神！！！』
「もっと崇め奉れ。」
兄ちゃんのおかげで楽々登校ができ、一安心。
そんな兄ちゃんは、車内でこんな話を振ってきた。
「A、野球部で好きな男とかいねぇの？」
『....っ！？』
私は寄ってもらったコンビニで買ったカフェオレを
優雅に車で飲んでいたところ、思いがけない質問で
吹き出しそうになり、むせ返る。
「いるんだな。」
ニヤニヤしながら言ってくる兄ちゃん。
『なに急に。別に、いないし...。』
「隠さなくていいじゃんよ。青春だな〜。
お前、モテるんだからそろそろ彼氏くらい作れよ。」
『大きなお世話！』
「高校生活もあと1年だろ？やりたいことやらねぇと
絶対後悔すんぞ。一瞬だぞ、1年なんか。」
『わかってるよ....。』
「で？どんな男？？」
『......。......女の子に、モテモテなヤツ。』
「...まじ？すげぇ意外。お前はそういう相手、
絶対選ばないと思ってたわ。」
『だから別に選ぶとかじゃないんだってば。
どうせ私より可愛くていい子なんて周りにいっぱいいるし。』
「(妬いてんじゃん、もう完全に好きだろ...。)」
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作者名：mari | 作成日時：2022年8月12日 12時
