【◇】稲実エースが惚れちゃった (ページ47)

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私のことを信じて庇ってくれた雅たちを
悪く言うのは、何が何でも許さない。

　『私のことをなんとでも言うのは勝手だけどね、
　仲間のことを悪く言うのは絶対許さないよ。』
　「っ...！！」
成「あんたが何を言おうと、俺はA先輩を信じるし
　他に泣きついても誰も味方になってくれないよ。
　野球部は全員A先輩の味方だから。」
　「も、もういい！！」

そう言って女の子は悔しそうな顔をして去っていた。
私は、顔の前で勢いよく手をあわせてみんなに謝る。

　『みんな、ごめん！助けてくれて、ありがとう。』
原「Aが謝る必要ねぇだろ。」
平「そうそう、初めからAが悪くないことくらい分かってたし。」
吉「お前が啖呵切ってくれたおかげで、すっきりしたわ。」
原「じゃあ俺ら先行ってんぞ。」

その場には、私と成宮だけが残る。

『成宮も、なんかごめんね。』
「A先輩は悪くないよ、また俺が迷惑---」
『ストップ。成宮のせいじゃないよ、これは完全に
あの子が悪い。カルロス達から聞いたよ、私のこと悪く
言ってたあの子に、言い返してくれたんでしょう？』
「うん....。」
『じゃあむしろありがとうだよ。だからそんな顔しないで。』

それでもしょぼん、としてる成宮。
どうやったら元気になってくれるだろうか。
そういえば、雅が犬みたいなヤツって言ってたな。

私は小太郎にするように、成宮の頭を
わしゃわしゃ撫でまわす。

「わっ！？ちょ、A先輩！？」
『ふふっ、これで元気出た？？』
「え、いやその...ええ？」

ぼさぼさになった成宮の頭を整えながら
ポンポンと頭をなでる。

『さっきの信じるって言ってくれた言葉、
凄く嬉しかった。ありがとう。
じゃあ私、部室でやることあるから行くね。』

何はともあれ、一件落着？かな。

*成宮side*

何が起きた....？

A先輩に頭わしゃわしゃされて、
その後優しく髪を整えてくれて、
そのまま頭ポンポンされて..........。

うわあ！！？
やばい思い出しただけで顔熱くなる！！

え？ちょっと待って、無理。
あんなことされて平常心でいるとか無理だから！！

もう落ちてた気持ちなんか完全にどっか行った。

こんなことしてくれるなんて、
ちょっとは期待しても、いいのかな....。