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部活は完全オフシーズンに入り、寒さも厳しさを増す。

成宮はまだ元の状態まで戻りはしなくとも、
夏までの練習態度とは比べ物にならないくらい
真剣に、時にはわがままに、トレーニングや食事も
含め、普段の生活からいい方向に変わっていた。


みんなが練習からそろそろ切り上げろと声をかけるも、
雪が降る日でも成宮はいつも一番最後まで走っている。

その日々の努力は誰もが認めており、今はまだエースとは
言えなくても、みんないつか成宮が完全復活することを
心待ちにしているはずだ。
当然、私もその一人。


『お疲れ、はい、ドリンク。体冷やさないようにね。』
「A先輩、ありがと!」
『最近の調子はどう?』
「まだまだ。キレもないし、荒れるんだよね。」
『そう。まだオフシーズンで時間もあるし、じっくり
やっていこう。私にもできることあったら何でも言って。』
「A先輩が優しい....。」
『......。』
「あーちょっと待って!置いてかないでよ!」



「そういえばさ、もうすぐクリスマスだね!」
『うん。冬合宿中だけどね。』
「寮でなにかしたりするの?」
『するよ。その日の夜ご飯はパーティー仕様になるし
ケーキとか用意して毎年みんなでわいわいやってる。』
「パーティー!!」
『そういえば、去年は雅が罰ゲームで顔面ケーキ
されてた気がする。』
「何それめっちゃ見たいんだけど。
てかA先輩、サンタさんの格好する!?」
『しない。』
「ええ〜見たいのに。」
『無理恥ずかしくて死ぬ。』


サンタコスなんて着れるわけがない。
あんなのは、もっと愛嬌があってかわいい子が着るものだ。
雪先輩みたいな。


吉「まーた鳴はAに絡んでんのかよ。」
成「クリスマスの話ししてたんだよねー。
 寮でみんなでパーティーするんでしょ?」
平「そっか、もうそんな季節だね。」
原「A、またヴァイオリン弾くのか?」
 『去年は雪先輩に聞きたいって100回くらい言われたから
 弾いたけど、今年は別にみんながいいんなら弾か---』
成「ヴァ、ヴァイオリン!!???」
 『成宮ちょっとうるさい。』
カ「A先輩、ヴァイオリン弾けるんすか?」
 『子供の時から習ってたの。まぁ趣味みたいなもんかな。』
矢「さすが野球部の才色兼備!」
吉「今年も弾いてくれよ、去年めっちゃ盛り上がったじゃねぇか!」
成「何それ初耳聞きたい聞きたい聞きたい聞き---」
 『あぁもう分かったから!』
成「やった!!!」

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作者名:mari | 作成日時:2022年8月12日 12時

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