【◇】稲実エースが惚れちゃった (ページ27)

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26-主人公side- ページ27

翌日---

成宮もやっと練習に参加するようになった。

もちろん、昨日監督が言っていた通り、さぼった分の
ペナルティとして、しばらくはボールに触れず、
基本的には走り込みや体幹づくりのメニューしか
やっていない。
ただ、10日も部屋にこもってたんだから、
それくらいのメニューでちょうどいいはずだ。
いきなりボールを触って、怪我に繋がったら元も子もない。

平「鳴、やっとでてきたね。」
吉「たくっ、心配させやがって。」
原「A、アイツと何か話したのか？」
　『え？あーまぁ、ちょっと。別に大したことじゃないけど...。』
吉「何だよ、珍しくはっきりしねぇな。」
平「Aのことだし、またビシッと言ったんじゃない？」
　『うっ...。』
原「図星か。」
吉「ははっ！いいんじゃねぇ？お前らはそんな感じでよ。」
　『でも、私が言わなくても出てきたでしょ。
　やられたまんまなんて成宮のプライドが許さないだろうし。』
平「確かに。」
原「今後のプレーにどういう風に影響するかは
　やってみねぇとわかんねぇな。」
　『そうだね。』

雪先輩がいなくなってから、私はやることが増えたけど
それ以上に選手のみんなが手伝ってくれたり、
自分達でやってくれたり、特に心配はいらなかった。

その日も練習が終わり、後片付けをしていると---

「あ。」
『あ。』

成宮とばったり出くわした。
この間の会話から、まだちゃんと話せていなくて
気まずい空気が流れる。

「あの、この前はごめん！」
『えっと、この間はごめん！』

お互いの謝罪が見事にかぶる。

『なんで成宮が謝ってんの？』
「いや、A先輩こそ。」
『私は、その...。成宮の気持ちも考えずに
言いたいこと言って、言い過ぎたかなって。
嫌われちゃったかな～とか、いろいろ考えてた。
だから、ごめんね。』

成宮はそれを聞いて、ブンブンと首を横に振る。

「俺がA先輩を嫌うとか、ありえないし！
先輩が言ってくれたこと、ガツンと来た。
俺も、生意気な態度取ってごめん。」
『本当？今まで通りに成宮と接していい？』

今後は縦にブンブンと首を思いっきり振る成宮。

『そっか、良かった。』
「..！！A先輩、これからも俺のこと
応戦してくれる？」
『もちろん。言ったでしょ、成宮のエースの姿、
楽しみにしてるって。』
「ありがと、A先輩！」

ひとまず嫌われてなかったことに安心する。
そして、まだ少し元気がない成宮だけど
前を向きだしたことが、何より嬉しい。