【◇】稲実エースが惚れちゃった (ページ23)

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「俺てっきり如月は成宮が好きなんだと思ってたわ。」
『え？それはないです。というより、成宮が私のこと
好きなることの方がないと思います。なんかもう、
姉弟みたいな感じですし、それに私より可愛い女の子が
周りにいっぱいいますから。』
「そう...か？」

先輩は、きょとんと信じられないものを
見ているような顔をしてる。
私何か変なこと言ったかな？

『あの、一つだけ聞いてもいいですか？
どうして、私なのかなって。』
「ああ、言ってなかったな。如月が入部してきた時、
他にも1年で2人仕事しないマネージャーいたろ。
横井の時も同じようなことあって、選手の俺らが
口出したらちょっとめんどくさいことになったことも
あるから、なかなか注意してやることもできなくてさ。」
『そうだったんですか...。』
「けど文句ひとつも言わずに、如月が頑張ってたの
知ってたから。1回怪我の手当てしてもらった時、
俺ちょっと上手くいってない時期で如月に
弱音吐いたんだよ。」
『あ、覚えてます。先輩2年の夏大前ですよね。』
「そうそう。それで俺が言ってほしかった言葉を
言ってくれた。」
『私なんて言いましたっけ。』
「要約すると、泣き言言ってないで前向け的な。」
『めっちゃ上から.....生意気ですみません。』

成宮のこと生意気だなんだって言ってたけど
私も大概な後輩な気がする。

「ははっ。でも、それが効いたんだろな。そのままレギュラー
定着したし。だから、すげぇ感謝してる。ありがとな。」
『そんな、私は何も。先輩の努力あってです。』
「そういうところだろうな、如月がマネージャーとして
みんなに信頼されてるのは。」
『？？？』
「じゃあ俺、このあと3年のヤツと用事あるから行くな。」
『私はせっかく学校来たので、明日からの
練習にむけて少しできることやって帰ります。』
「分かった。あいつらのこと、よろしくな。」
『はい！』

好意を持ってくれたこともそうだけど、尊敬する先輩が
私を一人のマネージャーとして認めてくれていたことが
何より嬉しかった。
そのことがこれからも頑張れる糧になるのは間違いない。

先輩と別れた後、私は部室で整理をしたり、練習道具を
綺麗にしたり、明日からのみんなの練習が少しでも
気持ちよく始めれるようにと思い、結局夕方頃まで学校にいた。

途中で実家から帰ってきた人と会ったり、
せっかくのオフの日なのに自主練をしている人
と話したりしたけど、成宮の姿は見なかった。