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*主人公side*

ついに甲子園も始まり、稲実は順調に勝ち進んでいる。

1、2回戦と成宮もリリーフで好投し
その名前が全国に知れ渡り始めた。


しかし、3回戦で稲実は姿を消すことになる---

6回からマウンドに上がった成宮。
8回表、スコアは2-2。1アウトランナー三塁。

相手のスクイズを読んでいながらも大暴投。

結局その1点が決勝点となり、稲実は敗戦。
試合終了後、成宮は泣き崩れた。



1年ながらも、たくさんの想いを背負って
マウンドに立っていたはずだ。
誰も成宮のせいだなんて思ってはいないが
成宮の性格上、きっと責任を感じているはず。

けど、どんな言葉をかけていいかわからず、結局
東京へ戻ってくるまで一度もちゃんと話はできなかった。



帰ってきた日、選手は各々の過ごし方を始める。
私は雪先輩と、二人で最後の時間を過ごしていた。


「私の荷物はこんなものかな。」
『雪先輩、2年半お疲れ様でした。』
「うん。...本当に、楽しかったな〜。
特にAちゃんが、入って来てからは。」
『私も、雪先輩は、....お姉ちゃん、みたいでっ...
いつも優しくて頼りにっなる...先輩がっ、大好きです』
「もうっ、Aちゃん泣かないで、せっかく我慢してたのに
私までっ、泣いちゃうじゃん〜っ。」


私達は思い出の部室でいろいろ語りあった。

しばらくした後、部室に控えめなノックが
聞こえて、キャプテンが入ってきた。


「雪、送るよ、帰ろうか。って、二人とも、目真っ赤だぞ。」
「しょうがないでしょ、寂しいんだもん。」
『キャプテンも、本当に2年半お疲れ様でした。』
「如月も、今までありがとうな。これからマネージャーは
一人で大変だと思うけど、あいつらのこと、頼むな。」
『はい!』
「Aちゃん、いつでも相談してね。できることは
少ないかもしれないけど、いつでも話聞くから!」
『ありがとうございます。』
「あと、次のキャプテンは原田で決まりだろうが
あいつも色々ため込むタイプだから、気にしてやってくれ。
それから....、成宮のことも。」
『はい、任せて下さい。成宮も、今はあんな感じですけど
きっと大丈夫です。そんな軟な男じゃないと思うので。』
「如月がいてくれると、安心して引退できるな。」
「だねっ!」



二人は「ありがとう」「よろしく」と
もう一度言いながら帰っていった。

私も、いつまでも落ち込んでいるわけにはいかない。
数日後に、すぐ新チームが始動する。
あと1年、精一杯みんなのために頑張ろう。

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作者名:mari | 作成日時:2022年8月12日 12時

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