【◇】稲実エースが惚れちゃった (ページ13)

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6月の終わりも近づき、いよいよ夏大も目の前だ。
今日はベンチ入りメンバーの背番号発表の日。

1番から順番に名前が呼ばれ、監督の手から
背番号が各選手に渡される。

背番号18---
成宮の稲実最初の背番号。

練習も終わり、雪先輩と部室で片付けをしていると
バタバタと足音が近づいてくる。

成「A先輩、いるーーーっ！？」
　『いるけどもうちょっと静かにして。』
雪「成宮くん元気だねぇ、どうしたの？」
成「あ、横井先輩もお疲れ様です！」
　『私には挨拶なしか。』
成「A先輩、俺の背番号つけて！！」
　『えー。自分でやりなよ。』
成「んなっ！！？何でそんな冷たいこと言うのさ！
　雅さん達のだってつけるんだよね！？」
　『それはまぁ、同じ学年だし。』
成「俺らの学年マネージャーいないじゃん。
　どうすんのさ！！」
　『いい機会じゃん、自分でつける練習すればいいよ。』

見るからにしょんぼりしてしまった成宮。
実は最初から断る気はさらさらない。
少し意地悪してみただけだ。

雪「Aちゃん、そんな意地悪しないでつけてあげなよ。」
成「...いじわる？？」
雪「選手たちの背番号は、今までもマネージャーが
　つけてきたからさ。さっき私たち二人で20人分、
　割り振ったところ！成宮くんの分は、もちろん
　 Aちゃん担当だよ。」
　『雪先輩、そこまで言わなくていいです。』
雪「だって成宮くんしょんぼりしちゃってかわいそうだもん。」

それを聞いた成宮は、途端に顔をホクホクさせる。

成「んも～A先輩てば、素直じゃないなぁ。」
　『うるさい。』
雪「私もみんなの背番号とユニフォーム集めてくるね！」
　『わかりました。成宮ユニフォーム羽織ってこっち来て。
　仮止めするから。』
成「はーいっ！！」

成宮の背番号を仮止めしていると、雅がユニフォームと
背番号を持ってやってきた。

原「A、これ頼む。」
　『うん、今仮止めしちゃうから羽織ってて。』
成「雅さんより先に俺がお願いしたもんねー！」
原「別に順番なんて興味ねぇよ。」
　『私数字早い順でつけるつもりだから。』
成「えっ！！？何で！？」
　『なんとなく。』
原「フッ...」
成「今雅さん鼻で笑ったでしょ！？」
原「俺より先につけてもらうには、1しかねぇな。」
成「絶対次は1もらうし！！」

落ち込んだり喜んだりプンスカ怒ったり、忙しい子だ。

けど、1をつける成宮も楽しみだ。
頑張れ、未来のエース。