狂気山脈へ ページ11
わ
登山隊結成から少し後。数日間の航海の末、登山隊がついに南極へ降り立つ。
岩
ついに来ましたか
笹
そうですね
わ
船を降り、南極へ降り立つと、そこは厳寒の真白き大地だった。
ペンギンたちが、奇怪なものを見るような目で君たちを出迎える。
手配どおりに南極調査隊の雪上車を借り、犬ぞりの犬たちとともに乗り込む。
見渡す限りの純白の大地を進んでいく登山家たち。
数日の行程を末、ついに南極横断山脈へとたどり着いた。
南極の山々はおおよそ全てが氷河に埋まっており、
氷の上に辛うじて山頂の頭を突き出しているにとどまっている。
気候が苛烈さを増す中、さらに氷河を進み、目標の座標へ向かう。
どこまでも続く、白銀の世界。
K2
進めば進むほど、人類の文明から遠ざかっていく。
ここには本当に、手付かずの自然しかない。まさに神の聖域だ。
かつて、エベレストを登ったマロリーたちも、ここまで不安じゃなかっただろうな
野
でも意外と同じような気持ちかもしれませんよ
K2
それも、あるかもね
わ
数日後、目的の山脈……つまり、氷河に埋まっていない、天を劈く山脈に突き当たった。
狂気山脈だ。ここから先は、雪上車では入れない。
雪上車をそこに停め、犬ぞりで移動を開始する。
犬ぞりでの移動目標は標高 4,000 m地点まで。
なだらかな斜面で危険地帯もなく、行程は順調だった。
しかし、標高 3,000 m程に達した頃、異変は起きた。
「グルルルル……」
犬たちが、唸り声を上げ、立ち止まったのだ。
見れば、足がすくんでいる。何かに怯えているようだ。山脈に向かって吠え続けている。
梓
どうしたのかしら?
わ
犬ぞりを降りる登山家たち。犬たちは言うことを聞かず、一歩も動こうとしない。
あまつさえ、何匹かはリードを引きちぎり、猛スピードで引き返して行ってしまう。
コ
オイッ……! マジかよ、何だってんだ
日
まあそんなかっかすんなって
K2
……行程が 1,000 m伸びただけさ。行こう
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作者名:大粛清 | 作成日時:2020年5月2日 23時