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＊
「食べすぎた」
「わかる……」
食べ終わったお鍋たちを台所に持って行って、それでもう力尽きて
洗い物しなきゃなあなんて頭では思いつつも体はこたつから出られなかった。いや、こたつが私を離してくれないのかもしれない。
ぼけっとふたりしてテレビを見ていればもう22:30
朝と夜って時流れるの早くない？早いよねわかる。うんうん。
「ねーこーちゃん」
「なにー」
「洗い物しなきゃ」
「行ってらっしゃい」
「裏切り者め」
なんだかんだ言いつつ私と一緒にこたつを出てくれる彼はとても優しい。
それよりこたつくん、もう少し私たちを引き止めてくれてて良かったのだけれど
「ねえ水冷たいんだけど!!」
「水だからしょうがないじゃん!!」
「そんなことある!?」
ぎゃあぎゃあ騒ぎながらお皿を洗う私たち、小学生かな
ご近所さんから苦情きたらどうしよう。こうちゃんに対応してもらおうか
顔を顰めながら水と戦う彼の横顔を盗み見て、もしかして寂しかったのはこうちゃんではなく私だったのでは。と少し思った。
こうちゃんエスパータイプもってるからな。それを見抜いてきたのかもしれない。……なんて
「こうちゃんの方終わった？」
「終わったー」
「よしこたつに戻ろう」
スイッチ切らなくてよかった
冷えきった指先からじんわり温まっていく。
ここは天国かしら……。
みかんが欲しい。
カーテンが開いた窓から外を見て、ふと思いついた。
真っ暗で吸い込まれそうな空の中に、いくつかの星がきらきら瞬いている
「ね、こうちゃん、お散歩行こ、お散歩」
「……今何時か知ってる??」
「午後11時」
「ってもうコート着てるし……」
行こ、なんて手を差し出せばしぶしぶ立ち上がってくれる彼は、やはりとびきりの優しさを持っていると思う。
そゆとこも好きだよわたし。
さっきまでさんざん馬鹿みたいにはしゃいでたんだから、深夜のお散歩なんてすこしくらいロマンチックなことしてもいいじゃない
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作者名：早瀬 x他3人 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年3月29日 15時
