◇ ページ38
仕事は楽しい。正式に会社の一員になって任せてもらえる仕事が増えたし、企業としての幅も広がってきていると思う。公私混同はよくないとはわかっているけれど、出社すれば大好きな彼女だっている。実際彼女も楽しそうだし、ほかの学生ライターとも仲良くやっていて、刺激になると日々楽しそうにしていて何より。
…まさか、男絡みで彼女をここに呼んだのを後悔するとは思いもしなかった。そんな悩みを抱える隙がないくらい、俺らって仲いいと思ってた。
「こうちゃんごめん、森川借りてもいい？」
「どうぞどうぞ」
奥の部屋から出てきた河村さんはまっすぐにこちらに来ると、雑談もほどほどにAを連れてまた奥へ消えていった。ちっちゃく手を振ったA、可愛いな、じゃなくてさ、あれはなんなの。もうすぐ12時、ほとんどの人は昼休み。一緒にいる日はご飯も一緒、と決めたわけじゃないけれど、彼女が、俺がいるのにわざわざ俺じゃない男と二人で昼休みを過ごすって、そりゃいい気はしない。最近なんだかそんなことが増えた。Aにそれとなく何話してたのって聞いても、会社のこととかってなんとくはぐらかされて終わり。まさか、Aに限って、河村さんに限って、そんなことはないはずなのに。
「こうちゃん？」
「はい？」
「…大丈夫？」
そんなことを考えていたらずっと二人が消えた部屋を見つめたまま固まっていたらしい。山本さんが心配そうに眉をさげていた。
「すみません、ご飯食べましょ。俺山本さんに聞きたいことあるんです」
なんか最近俺の同期と仲いいじゃないですか。清水、全然そんな話もしないし素振りも見せないから気付かなかったんですけど。
このまま俺とAのことを聞かれたら、ただでさえ際どい公私混同のラインがさらに曖昧になりそうで怖かった。そんなことは誰も望んでいないんだから、気を付けなくちゃ。
30分ほど経っただろうか、ようやく二人はあの部屋から出てきた。なんだか楽しそうに喋っていて、Aも頑張ってくださいとか言っちゃって、Aは河村さんの何を応援してんの。
「あれ！こうちゃんもうご飯食べ終わるじゃん、一緒に食べたかったのに」
「Aがどっか行くからでしょ」
「なぁに〜拗ねてんの〜？こうちゃん私のこと大好きじゃんちょっと待ってて。あ、山本さんお邪魔して平気ですか？」
「もちろん、こうちゃん寂しそうだったよ」
「ほんとですか？！ごめんねって！」
けらけら楽しそうに笑うAはいつも通り。
ねえ、何もないよね？
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黄色い恐竜(プロフ) - 絢瀬さん» コメントありがとうございます！読んでいただけたのも嬉しいです……！ぼちぼちまた2人で書きますのでよろしくお願いします！ (2020年12月21日 15時) (
レス) id: 110633540f (このIDを非表示/違反報告)
絢瀬 - 本日一気見しました！更新お待ちしています (2020年12月17日 22時) (レス) id: 38bfafd10d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早瀬と恐竜 x他1人 | 作成日時：2020年11月11日 14時
