劇団四季CATS ジェリクルキャッツと少女の物語2

第48話 大人の事情 ページ7

あれ、タガーどこだ？

あちこち探していると、マンカスとランパスがいた。

そして知らない猫が2匹。

「何してるの？あっ！」

近づくとオレンジ色の毛の猫が横たわっていた。

私はバックから救急ポーチを取り出す。

「…いいわよ。こんな傷対したことない。」
「駄目！このまま足にばい菌入って歩けなくなるケースもあるんですよ！？」
「こんな傷で…」
「しみるけど我慢して。」

私は傷を消毒液で塗る。猫はうめき声を時々あげながらも抵抗はしなかった。

素早く包帯で手当てをした。

「へぇ、貴方器用ね。」

会ったことない大人の猫が言う。


「ディミ、立てるか？」
「ええ。貴方、手当てをしてって言ってないけど…ありがとう。あたしはディミータ。」
「私はボンバルリーナよ。ボンバルって呼んで。貴方がAね。」
「はい。でもディミータさん、どうしてこんな傷を？」
「ディミでいいわ。…あいつがここに来たのよ、奴が…！」
「ディミ。」

マンカスがいつもより低い声で遮った。

「…ごめん、犬に噛まれたのよ。」


さっきの奴って…犬のことなのかな？


「それにしても貴方手当てが上手ね。医者でも目指しているの？」
「はい。獣医になりたくて…」
「そうなの。きっといい獣医になるわ。」

ボンバルはニコッと笑った。何か大人っぽい猫だなぁ。

それにしてもさっきからランパスが何も話さない。どうしたんだろう…。



「ディミは大丈夫そうだな、俺は仕事があるからもう行く。」


そう言うとランパスは走って行ってしまった。


「何よ、気を遣ってるのかしら。別れたのは2年前の話なのに。」

ボンバルがツンとした感じで言った。

別れた…もしかして付き合ってたのかな…。


「A、すまないが向こうに戻ってくれないか。大事な話をするから。」
「わかった。ディミ、ボンバル、これよかったら。」

私はそう言って残りの八つ橋を2匹にあげた。

「A、ありがとう。」
「…ありがとう。」
「それじゃあ私、家事しないといけないから帰るね。」


こうして3匹に別れを告げた。





「マンカス、これでもあたし、いい情報をつかんだわ。」
「何だ、それは？」
「本人が言っていたの、あいつ、どうしても殺したい人物がいるみたい。」
「人物？それは人間なの？」
「人間とジェリクルの血が混ざった…





…”化け物”らしいわ。」
「化け物！？そんなモノ存在するわけないわ！」
「この近くにいなきゃいいけど…。」









「A…。」

第49話 お仕置き→←登場人物紹介 その4＆番外編その2 雌猫から見た彼ら

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