検索窓
今日:16 hit、昨日:22 hit、合計:22,710 hit

第82話 お礼 ページ43

大量の汗が頬を伝う。


毎日鍛えようとカンフーをやっても、夏は暑いせいか何故か動きが締まらない。


「あっつ…」

少し日陰で休もうと腰掛けたその時。



ぴとっ



「冷たっ!」
「あははは!」


頬に何か冷たいものが当たって驚いてると、Aがニコニコしながら何かを持っていた。


「それ水か?」
「うん。どうぞ。」


いいよ、という前にペットボトルの蓋を開けて俺の前に差し出すA。


恐る恐る口にすると、食道に冷たい水が通っていくのが分かった。



「昨日はありがとね。」
「いいよ。大丈夫か?」
「平気。それにしても暑いね〜」
「お前なんで袖長いの来てるんだよ。暑いに決まってんだろ。」
「だった日焼けしたくないんだもん。」


えへへ、と笑うAが可愛いらしい。


「私、昨日のお礼をどうしてもしたいの。何か欲しいものある?」


えっ?欲しいもの…?


今は特に無いんだけど…。



「あ、何か手伝うとかでもさ、ほら、何でも言ってよ!」


Aはくりくりした瞳で俺を真っ直ぐ見ていた。


そ、そんなに見つめられると言いづらい。




「いいよ。欲しいもの無いし、手伝ってもらいたいことも無いから。」
「そっか…分かった。でも本当にありがとう。」



Aはそう言うと顔を桃色に染めた。




本当は優しくて頼りになって、そして何より可愛いお前が欲しい。





だけどそんなこと、俺に言えるわけが無い。





「ねぇ、もしかして私のこと嫌い?」
「えっ?」


Aを見ると、珍しく唇を軽く噛んで俯いていた。


「いや、やっぱ私人間だし。ギルさんはだって…人間苦手でしょう?それに私、いろいろ迷惑かけちゃって…」
「俺がいつ嫌いだと言った!?」


吐き捨てるように言うと、Aの頬を両手で挟んだ。


「確かに俺は人間は嫌いだ!だがなぁ、猫のこと大事にしてるお前は別だと前に言っただろ!それにもし嫌いだったら昨日あんなこと…///するかよ!」


Aはぱちぱちと瞬きをしてからへにゃと笑った。


「良かった〜私ずっと心配してたの。嫌われてたらどうしようって。でもギルさ…」
「ギル」
「へ?」
「もう、二度とさん付け…すんな///」



Aはうん、分かったとあの可愛い笑顔を見せてくれた。



「疲れた。俺、昼寝する。」
「あっ、じゃあ私も。最近寝不足だから。」
「それじゃ、おやすみ。」
「うん、おやすみギル。」





最後の2文字と甘い声が、俺の鼓動を急速させた。

第83話 特訓開始!→←第81話 マンカスとコリコ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ:劇団四季 , CATS
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なおぴょん(プロフ) - **ぐるぷん**さん» 私も毎日聴いてますよ~♪ 札幌公演見に行きますか? (2014年10月10日 22時) (レス) id: 4de1711d69 (このIDを非表示/違反報告)
**ぐるぷん**(プロフ) - なおぴょんさん» 私も毎日聴いてます!私は福島です!( ̄^ ̄)ゞ (2014年10月10日 22時) (レス) id: d02575319c (このIDを非表示/違反報告)
ねねこ(プロフ) - **ぐるぷん**さん» 四季のアラジンオーディション、団員以外にもキャスト募集するので一和さんが出る可能性なある気がします。退団後も四季作品に契約で出ている方いますし…札幌開幕は来年の1月なので最低でも一年はやると思いますよ! (2014年10月6日 23時) (レス) id: 14bda2dd5b (このIDを非表示/違反報告)
なおぴょん(プロフ) - **ぐるぷん**さん» 私もCATSのCD持ってます!いいですよね〜(*^^*)ぐるぷんさんは、札幌に住んでいるんですか? (2014年10月6日 22時) (レス) id: 4de1711d69 (このIDを非表示/違反報告)
**ぐるぷん**(プロフ) - なおぴょんさん» キャッツ千秋楽迎えましたね!キャッツのCD聴くたびにキャッツ観たいな〜ってなります(T ^ T)受験終わるまで札幌でやってるかが不安で不安で(°_°) (2014年10月6日 22時) (レス) id: d02575319c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ねねこ | 作成日時:2014年7月8日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。