劇団四季CATS ジェリクルキャッツと少女の物語2

第72話 不思議な出来事 ページ33

翌日、私は夕方に再び神社を訪ねた。


「来てくれたのねA！」
「うん。あ、そういえば昨日ふたりテレビに映ってたよ。」
「え？テレビ？」
「うん、昨日駅で怪我人が出たニュースでふたりが怪我人の手当てしてたんだけど…」
「あの事件のことか。」


タンブルが私の前で胡座をかいた。


「元々俺達は駅の方に用があって、帰ろうとしたら事件を目撃したんだ。最近、不思議な出来事が起きてるからな。」
「不思議な出来事？」
「そう。真っ黒な服を着た男が日本のあちこちに現れるの。神出鬼没よ。」



何それ…不審者？誘拐犯？



神出鬼没って…



「いろいろな人が狙われるの？」
「ええ。でも1番多いのは女子高生よ。」
「何その人ロリコン！？」
「ろりこんって何だ？」



どうやらタンブルはロリコンを知らないらしい。



「タンブル、ロリコンは幼女趣味の男のことよ。」
「変わった言葉だな。しかし狙われるのは人間だけではない。ジェリクルも多くの命を落としている。」




多くの…命！？



ってことは奴は殺し屋…！？




「そいつ、まだ捕まってないんだね…」
「ええ。しかも動きが素早いからなかなか難しいの。」
「ああ。しかも強い。俺も奴に殺られかけたからな。」



タンブルは着ていた服の襟元をそっと下げると、胸板に大きな傷があるのがわかった。



凄く痛々しい…でも…




「胸板厚い…！」
「ふふ、貴方胸板が厚い男性が好みなのよね。」→詳しくは第35話を読もう！
「何で知ってるの！？///」
「ジェミマから聞いたわ。でも彼よりもマンカスやタガーの方がたくましいわよ。今度見せてもらいなさい。」
「…カッサ」



タンブルがしかめっ面だったので、急いで本題に戻る。




「もしかしたらその人って個人でやってるんじゃなくて複数いるんじゃないかな？テロリストみたいに…」
「それはない、犯人はひとりだ。俺は何度か奴に遭遇しているが、身長、容姿、身のこなし、全てにおいて一致している。もし複数いるならそれぞれ違いがあるからな。」



なるほど…でもどうして人間やジェリクルが襲われるの？



「その犯人ってジェリクルなのかな？」
「具体的なことは分かってないの。でも可能性は高いわ。あの身体能力の高さは人間にはなかなか無いもの…」





人間だろうとジェリクルだろうと関係ない。





どうして沢山の命を奪おうとするの？





みんな一生懸命生きてるのにどうして邪魔をするの？









……どうして……？

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