04.大切に、 ページ28
俺が、手首を切れなくて、太ももに包丁を当てた日から、
俺は、薮に、まるで監視されるように薮の家に置かれて。
伊「ね、やぶさん、」
薮「前みたいに薮でいいっつってんだろ。」
伊「えと…やぶ、あの、友達と遊びに行きたいんですけど…」
薮「敬語で喋るな。
そいつ、信用できるやつ？」
伊「ごめんなさい………
おれの、大好きな友達です……ともだち！！」
そか、って少し悩むそぶりを見せる薮。
てっきり、家に置いてるのは、発散できないストレスをおれにぶつけるためとか、そんなだと思ってたけど、
夢現だった俺を、優しく抱きしめてくれた薮は、今日までの1週間、まるで半年前に戻ったみたいに接してくれた。
薮「……じゃあ、行っておいで。
ただし、ここに帰ってくること。いいな？」
伊「はい…じゃなくて、うん。」
その夜のことは、俺はよく覚えてなくて。
覚えてる？って聞かれて、首を振ると、薮はとても悲しそうな顔をした。
薮「…お前にも、信用できるやつはいるんだな。」
伊「ひとりしかいないけど…」
そう言うと、また、泣きそうな顔になって。
そんな顔をさせたくなくて、でもなんでそんな顔になったかも、どうしたらいいかもわからなくて。
伊「……おれを、殴って、」
薮「は…？」
伊「だって…ストレス発散…？っていうんでしょ…？やぶ、悲しい顔してる…おれ殴ったら、笑顔になる……？」
薮「……俺は、伊野尾が笑ってくれたら笑顔になるよ。」
伊「殴らないの…？」
薮「もっと自分を大切にしろって、何回言ったらわかる？」
伊「でも…」
薮「でもはナシ。な？」
ぽんぽんと頭をなでられて、心臓がきゅってなる。
半年くらい前は、普通のことで、頭の上に乗ってくる手は当たり前で、なんともなかったはずだったんだけどな。
嬉しい、そう、幸せ。
メンバーからのいじめはなくなったわけじゃなくて、むしろたぶんひどくなってるけど、
俺は確かに、いま幸せなんだ。
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しおこ。 - 一話一話読む度に切なさが増してハッピーエンドにならいかなぁと祈るばかりです。今後の話の展開が楽しみです。応援してます！ (2018年4月5日 0時) (
レス) id: 0732e0359c (このIDを非表示/違反報告)
いのやまちね大好き - 見ている時に、涙してしまいました。 (2017年2月8日 15時) (レス) id: f434c80711 (このIDを非表示/違反報告)
いのありやま Ｉｏｖｅ - 伊野ちゃんに見方がついてくれてよかったー！ (2017年1月4日 13時) (レス) id: 62b049ed6c (このIDを非表示/違反報告)
はるまき(プロフ) - なんか、薮ちゃんと、愛斗君がすごく仲良くなっててめっちゃ嬉しいです♪( ´▽｀)更新頑張ってください(^-^)/ (2017年1月4日 11時) (レス) id: d9397298f9 (このIDを非表示/違反報告)
ばなな(プロフ) - 頻繁に更新してくださって、すごく嬉しいです！これからも楽しみにしてます！更新がんばってください！ (2017年1月3日 23時) (レス) id: e237a08c0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：酢雨 | 作成日時：2016年12月30日 23時
