132話 ページ34
警察に相談する前に、証拠となる手紙を持って行こうと一旦自宅に戻る。
鍵を開けて部屋に入ると、
「……?」
なんか違和感。
ぐるりと辺りを見回す。
纏めてあったごみ袋が、いつもとちがう所に置いてある。
使った覚えのないコップが、洗ってかごに立てかけてある。
時間が無くて、帰ってから洗濯しようと思っていた部屋着とシーツ類が、洗濯されて干されている。
寝室に行くと、自分で買った覚えのないシーツが綺麗に敷かれていた。
「なにこれ……」
お母さんでも来たのかな?
でも来るなんて言ってなかったよね?
ドキドキする胸を押さえて、水でも飲んで落ち着こうと冷蔵庫を開ける。
「っ!!」
冷蔵庫のドアを開けた瞬間、異様な光景に背筋が凍る感覚が。
中には保存容器に入れられたおかず類が綺麗に並べられていた。
『お疲れ様。お腹がすいたら食べてね』
とメモが貼られている。
でもこの字はお母さんの字じゃない。
「!!!」
見たことある字の正体が分かった瞬間、一気に恐怖が押し寄せた。
郵便ポストに入っていた手紙……。
写真の裏に書いてあった時と同じだ……。
「なんなのこれ……」
そこへLINEの通知音が鳴って体がビクッと反応する。
『ごみは分別されていないものがあったから僕が分けておいたよ。疲れてるだろうから洗濯もやっておいた。シーツはAが好きそうなものを買って新調したよ。冷蔵庫は見てくれたかな?Aの為に作ったんだ。遠慮しないで食べてね』
怖くて手が震えてきた。
誰がこんなこと……。
ピンポーン
「っ!?」
静かな部屋に玄関チャイムの音が響く。
今このタイミングで出るのはすごく怖いんだけど。
動くのも怖くてしばらく様子を見ていると、微かにドアの向こうに人の気配を感じた。
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作者名:彩女 | 作成日時:2017年12月23日 0時