130話 ページ32
みんなでご飯を食べて、健斗と優磨は2人で寮へ帰って行った。
私も帰ろう、そう思った時。
「ん……?」
大「どうかした?」
「なんか、視線を感じたような気がして」
大「視線?」
この間の変な手紙を思い出して、思い切って大伍に話してみた。
「あのね、ちょっと前に変な手紙がポストに入ってて」
大「変な手紙?」
「うん。『大伍と付き合ってるの?』とか『大伍のこと好きなの?』とか」
大「俺!?」
「うん……。2人で写ってる写真が入ってて、練習着だったからクラハで撮ったんだと思う」
大「……大丈夫?」
「え?」
大「1人暮らしでしょ?郵便受けに直接投函されたってことは、相手に自宅はばれてるってことでしょ」
「あ……そっか」
大「他になにかされてない?」
「たぶん、大丈夫。何か帰るの怖くなってきた」
大「家の前までなら一緒について行くけど?すぐ近くだし」
「ん……でもいいや」
大「本当?なんかあったらすぐ教えて」
「でもそんなことしたら大伍に迷惑、」
大「それくらいどうってことないから。Aコーチに何かあったら心配っしょ」
「……」
大「どうかした?」
「ううん。なんでもない。ありがとう。じゃあ、Gが出たら来てもらおうかな」
大「そう言う話じゃないし(笑)でも本当に気を付けてよ?」
「ありがと。じゃあ帰ろ。明日も練習だし」
帰り道、運転しながらさっきの大伍の言葉を思い出す。
『Aコーチに何かあったら心配っしょ』
大伍が心配してくれるのが嬉しかった。
それはきっと、仲間としてだけど。
それでもその言葉に、ちょっと心が温かくなっていた。
その理由が分かるのも、そのきっかけの出来事が起こるのにも、そう時間はかからなかった。
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作者名:彩女 | 作成日時:2017年12月23日 0時