123話 ページ25
くつくつと音をたてる鍋の中には、いかにも高そうなお肉と新鮮なお野菜。
ヤス「好きなだけ食べてね」
「ありがと。…ね、大伍は?来るって言ってたんだよね?」
ヤス「ああ、来る途中に事故渋滞にハマったらしくて。まだ時間かかるって」
事故渋滞かー。
タイミングによってはなかなか渋滞から抜けられないんだよね。
大伍が来てない理由を聞いて、大変だねー、なんて言いながら3人ですきやきを食べる。
私は、少量をゆっくり。
ヤスの奥さんとは話も弾んで、打ち解けるのに時間はかからなかった。
思っていたよりも楽しい時間を過ごせて、来て良かったと思った。ヤスと大伍に感謝しなくちゃ。
ヤス「大伍おっせぇなー。どこいるんだ?」
ヤスはそう言いながらスマホを取りだして、大伍に電話を掛けた。
ヤス「もしもし?お前今どこ?……病院?」
病院、という言葉に、私とヤスの奥さんの手が止まる。
ヤス「……マジで?どーすんの今日。……そ、りょーかい」
そう言ってスマホをテーブルに置くと、ヤスはフゥー、と大きく息を吐いた。
「どうかした?」
ヤス「大伍さ、今病院だって。目の前の車にトラックが突っ込んだらしくてさ。大伍は車間空けてたから何ともなかったんだけど……」
そこまで言って、急に黙り込んだヤス。
何か、言いにくそうな様子。
「何?」
ヤス「突っ込まれた車の助手席、菜緒子ちゃんだったんだって」
「菜緒子……?あっ!」
思い出した。
ちょっと前に私にケンカ売ってきた、大伍の元カノだ。
「でもなんで?大伍関係あるの?」
ヤス「一応、事故の目撃者だし。事情も聞かれてて。それに別れたとはいえ、昔は好き同士だったわけだし。運転席にいたのは彼氏っぽいけど、もう……ダメだったらしくて。目が覚めたときに、誰かいたほうが安心するだろ……って」
菜緒子さんが事故……。
それも結構大きな。
「そっか……。大変だね……」
ヤス「菜緒子ちゃん、こっちにいるけど出身は長崎っつってたしな。家族だってすぐにはこっち来れないだろうし。大伍なりの優しさだろ」
「そうだね……」
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作者名:彩女 | 作成日時:2017年12月23日 0時