121話 ページ23
10月の初めは代表ウィークということで、しばらくリーグはお休み。
この期間、チームはタイ遠征をして現地のチームとトレーニングマッチを組んでいる。
私はというと……
ヤス「Aコーチ、今日俺んちにメシ食いに来ない?」
「えー?なんでヤスの家?」
ヤスにナンパされていた(笑)
というのは冗談で。
負傷離脱中のメンバーと共に鹿嶋で留守番。
リハビリを兼ねたメニューをこなしながら、ヤスが私にそんな話をしてきた。
ヤス「昨日、奥さんの実家からすき焼き用の肉が送られてきてね。超高いヤツ。大伍も誘ったんだけどさ、結構な量だからAコーチもどうかなって思って」
「私ー?私はいいよー」
ヤス「あれ、すき焼き嫌いだった?」
「そうじゃないけど」
食欲がね、あまり戻ってないんですよ。
今この状態で肉なんて食べたら、すぐ戻しちゃいそう。
大「ヤスの奥さん、Aコーチに会いたがってたよ」
「大伍。……なんで私?」
隣で黙々とメニューをこなしていた大伍が、グルグルと首を回しながら私達の正面に移動してきた。
大「さあ?ヤスに聞いたら?」
ヤス「たまにAコーチの話をしてたらさ、すごく興味を持ったみたい」
「変なこと言ってないでしょうね?」
ヤス「どうかなー?でさ、どうなの?来る?来ない?」
「うーん……」
大「肉なら俺らで食うし。Aコーチはヤスの奥さんの話し相手でもすればいーじゃん。こっちに知り合いっていないでしょ」
「まあ……」
ヤス「じゃあ決まりね!あとで俺んちの住所教えるから!」
私が返事を迷っているうちに、ヤスは楽しそうにロッカールームへと引き上げて行った。
私まだ行くって言ってないんですけどー?
78人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:彩女 | 作成日時:2017年12月23日 0時