110話 ページ11
「つかれたー……」
会議が終わって、クラハを出たら外は日が暮れはじめていた。
お腹空いたなー。
でも今日はご飯作りたくないな。
会議で頭使いすぎて、いつも以上に疲れたよ。
「どっかで食べて帰ろ」
最近ずっと自炊頑張ってたもん。
今日くらいラクしたっていいよね。
まだ傷痕が残る手でハンドルを握って、前に岳から教えてもらったご飯屋さんへと車を走らせた。
「あ〜……美味しい」
人が作ったご飯って、なんでこんなに美味しいんだろう。
自分で作った料理も不味くはないけど、食べなれた味だし、たまにこうやって誰かが作った料理を食べるとすごく幸せな気分になる。
西倉「池澤さん。偶然ですね」
ツヤツヤの白米を頬張った瞬間、目の前に現れたのは西倉さん。
仕事帰りなのか、スーツ姿だった。
私は急いでご飯を飲みこんで、箸を置いて挨拶をした。
「こんばんは。お仕事の帰りですか?」
西「はい。たまには外食でもしようかと思って来てみたら、池澤さんが居たので。つい声掛けちゃいました」
「私もです。仕事帰りに、自炊が面倒になって外食です」
西「一緒ですね。あ、ここ、座ってもいいですか?」
「どうぞどうぞ!」
西倉さんが相席で私の向かい側に座った。
混んでなかったから4人掛けの席に通されたけど、独り占めはちょっと申し訳ない気がしてたんだよね。
西倉さんは私と同じものを頼むと、よっぽどお腹が空いていたのか結構な勢いで食べ始めた。
すごくおいしいですね、なんてご飯の話で盛り上がったり、サッカーの話で熱くなったり。
西倉さんとは数えるほどしか会ったことがないのに、話しやすくてとても楽しかった。
西「ここは僕が払います」
「え、いいですよ」
西「遠慮しないでください」
そう言って西倉さんは、半ば強引に私の会計も一緒に済ませた。
「すみません。私のぶんまで」
西「じゃあまた、一緒にご飯食べましょうよ。そしたらその時は池澤さんが支払してください。それでチャラです」
「そういうことなら……」
西「じゃあ、連絡先聞いてもいいですか?口約束じゃなくて、有言実行派なんで」
「あっ、はい」
西倉さんの電話番号とLINEを教えてもらって、自分の電話帳に一件、名前が増えた。
西「今日はご一緒できて嬉しかったです。また、今日みたいにいろんな話しましょうね」
「はい、ぜひ」
西倉さんとお店の前で別れて、車を自宅へ向かって走らせた。
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作者名:彩女 | 作成日時:2017年12月23日 0時