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87話 ページ38

「もう12年も経ってるし、向こうも忘れることは無くても落ち着いてるだろうって思ってたんだけど……。あの目は、……瑠衣の父親の目は、今も私を憎んでいるって分かった。だからあの時、当時の出来事がフラッシュバックして動けなくなっちゃった」

大「……そっか」

「何も言わないの?」

大「言わないよ。俺は話聞くって言っただけだし。それとも何か言って欲しかった?」

「……ううん。ありがと。大伍に話したらちょっと楽になった!でもごめんね?こんな重い話聞かせちゃって」

大「俺は全然構わないけど。Aコーチが元気に笑ってくれるなら、いくらでも話聞くし」


そう言った大伍は、ちらっと私のほうを見て口角をあげて笑った。


「今のセリフ、普通ならキュンとするところなんだろうけど……大伍だからまったくキュンとしないや(笑)」

大「何でだよ(笑)じゃあ『月が綺麗ですね』とか言ったらキュンとするわけ?」

「うわ!何そのセリフ!ドン引きー」

大「ぜってー言わねぇ(笑)」



大伍のクサいセリフにゲラゲラ笑って。
それに対して大伍がちょっと照れながら悔しがったりして。

重い話をしたあとなのに、なぜか気持ちは軽くなっていた。


気づいたら、もう家の近くまで来ていて。
雷は収まったけど、雨は相変わらず降り続いている。

自宅に着くと、濡れにくい場所に車を停めてくれるし、荷物も全部持ってくれたりで至れり尽くせり。



「こういう所はいいよね」

大「え?」

「自然と荷物持ってくれたり、雨に濡れないように気遣ってくれるところ。そういうことができる人って、いいよねって」

大「そう?」

「うん。じゃあね、ありがとう。肩とか濡れてるから風邪ひかないようにね」

大「ん。お疲れー」


ヒラヒラと手を振って車に戻る大伍を見送って、無事に自宅に入る。

今日はいろいろあったなー。
瑠衣のお父さんが練習場にいて、大伍に手を踏まれて骨折して。
雷は酷いし、かと思ったら大伍に送ってもらう事になって。
話しの流れで、瑠衣の事を打ち明けた。



「そういや……大伍と普通に話せてたな」


大伍はいつも通りって感じだったし、気負っていたのは私だけだったのかな?

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タカゆき - 再開楽しみにしています。ご自愛下さい (2018年3月29日 23時) (レス) id: c542140ed6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩女 | 作成日時:2017年7月31日 23時

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