君は何を思う２ (ページ28)

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７７話ページ28

｢痛い痛い痛い！やだもう帰るっ！｣

『そんなこと言ってたらずっと痛いままですよ』

｢もっと優しくしてください！｣

『これでもだいぶ優しくしてるんだけどなあ』

病院に着いて状態を説明したら、あまり待たずに診察室に通してもらえた。

レントゲンを撮ったら、ものの見事にポッキリ(笑)

手の甲の、薬指と小指に繋がる骨が折れてた。

処置をしてもらったんだけど、かなり痛くて先生に八つ当たり。
本当に３０歳なの？って言われたけど、いくつになっても痛いのは苦手なの！

手は当分の間、ギプスでガッチリ固められた痛々しい姿に。

｢利き手だから字も書けないしご飯も食べられないー｣

『ご飯ならフォークとスプーンで何とかなりますから』

｢先生、私は箸が使いたいんです｣

『わがまま言わないの(笑)片手が使えるだけいいでしょう？はい、じゃあ来週また来てくださいね。都合のいい日時で予約入れておきますよ』

―――――――――

｢戻りましたー｣

治療を終えてクラブハウスに戻り事務所に報告に向かうと、中田ＣＲＯが笑顔で迎えてくれた。

CRO｢ああ、おかえりなさい。大変だったね。もう少ししたら石井さんたちもここに来るから。で、どうだった？｣

｢ポッキリいっちゃってました(笑)｣

CRO｢うわー。やっちゃったね。こりゃ大伍を叱っておかないと(笑)｣

｢いやいやいや。私の不注意ですから。大伍は悪くないですよ｣

CRO｢どのくらいギプス嵌めてるの？｣

｢完全に取れるまで3週間。完治まで6週間って言われました｣

CRO｢結構長いね。まあ折れてるんだから仕方ないか。当分の間はグラウンドに出られないんじゃない？｣

｢そうなんですよねぇ。診察してくれた先生も、『あなたなら平気な顔してサッカーやりそうですもんね』なんて言って、次回の診察までは何が何でも大人しくしててくださいって｣

アハハ！と声を出して笑ったCROが、暑かったでしょ、と麦茶を出してくれた。

だけど、どうぞ、と差し出された麦茶のコップも、利き手が使えないから持つだけで緊張する。
グラスだし、滑って落としたら……なんて考えたら変な汗が出てくるよ。

CRO｢先生、よく分かってるじゃない。Aコーチは頑張り屋さんだから。今回の事は、神様がくれたお休みだと思ってゆっくりしたら？｣

｢そうしたい所ですけど、もうすぐ1stステージの最終節じゃないですか。みんなが頑張っているのに、一人だけ休んだりできないですよ｣