43話 ページ44
ついに始まったJリーグ。
開幕戦は完成したばかりの吹田スタジアムでガンバ大阪と対戦。
試合は優磨のゴールで見事勝利した。
幸先良いスタートにとりあえずホッとして、私もひとつ、コーチとしての役割を果たせた気がする。
−−−−−−−−
『池澤コーチ!サインください!』
クラハ内を歩いていると、こうやって声を掛けられることがたまにある。
でも私、サインなんてしたことなくて。
現役だったのは高校生までだし。
丁重にお断りをするんだけど、『じゃあ一緒に写真撮ってくれませんか?』と頼まれる。
さすがにそれは断る理由も無くて、写真は一緒に撮るのだけど。
聖「Aコーチ、モテモテですね(笑)」
「女の子にモテてもねえ……。男の人からすれば、私は女らしさが足りないんだろうね。だからこの歳でも独身……」
自分で言って、虚しくなってきた(笑)
聖「Aコーチの魅力を分からない男がいるなら、そいつの目が節穴なんすよ、きっと」
「そう言ってくれるのは聖真だけだよ」
ほんと、優しいんだからこの子は。
聖真と、女の魅力とはというお題で語りながらロッカールームへ向かう途中、後ろから「いけぴー!」と元気な声が私を呼んだ。
声の主は、やっぱり夢生。
夢「いけぴー、お昼ご飯まだっしょ?俺と飯、食おうよ」
「なんで私?」
夢「FWの先輩に、点の取り方をアドバイスしてもらいたくて」
「まてまて。私は女子、夢生は男子。ポジションはFWで同じかもしれないけど次元が違うでしょ。それに私、現役から10年以上ブランクあるし」
夢「男女の差はあってもFWなんてやること一緒やろ?なんかいい話聞けるかなと思ってな。下のカフェにおるから来てな!」
そう言い残して、夢生は先にロッカールームへと去って行った。
「強引……」
聖「まあ、夢生君らしいけどね(笑)」
これからもこの自由さに振り回されるのかなーと思ったら、ため息しか出ない(笑)
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作者名:彩女 | 作成日時:2016年3月28日 23時