君は何を思う (ページ4)

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11月の半ば。
コーチのオファーを貰ってから1週間が経ったころ。

鹿島アントラーズのクラブハウスにやってきた。

でも返事をしに来たわけじゃない。
単なる見学。

鹿島がどんなチームなのか、雰囲気とかを知りたくてね。

テレビで見ることはあったけど、やっぱり実際見るのとじゃ印象が違うだろうし。

選手が練習しているグラウンドの方へ行くと、見学席には女の子がいっぱい。

さすが、イケメン率が高いって言われてるだけあるな。
カメラを構えている子は、お目当ての選手でも撮ってるのかな。

練習はいい雰囲気で行われていて、たまに飛び交う怒号には勝ちにこだわる姿勢が垣間見えた。

周りの見学席の女の子たちは｢かっこいい｣とか｢かわいい｣なんて言いながら見ているけど、私はどうしてもコーチ目線で見ちゃうなあ。

結構質のいい練習をしていると思うんだけど、ここに私を呼ぶ必要あるのかな？
しいて言えば、キーパーの練習に物足りなさを感じるけど……
それは私の役目じゃないしな。

じっと練習を見ていると１人の選手と目が合った。
給水しながら、ちらちらとこっちを見ているけど……。

練習着の番号は１６番。

名前が分からなくて、アントラーズのホームページで確認する。

山本、脩斗……。

面識あったっけ？無いよな。
Ｊリーグのトップの選手の知り合いなんていないもん。

あ、もしかして私じゃなくて違う人を見てた？
私、勘違いしちゃった感じ？
だとしたら恥ずかしいなー。

そう思ったら急に居たたまれなくなって、練習の途中で見学席を後にする。

せっかくだからショップとかも覗いてみようかな。

クラブハウス内のオフィシャルショップに入ると、たくさんのグッズが並んでいる。

へえ。
いろいろあるなあ。
これなんか、バッグにつけたら可愛いかも。
やっぱり女の子のファン向けに作られてるものもあるんだな。

安西｢池澤さんじゃないですか？｣

ショップを出たところで声を掛けられ、きょろきょろと辺りを見回す。
｢上です、上！｣と声がして見上げると、この間会った安西さんが立っていた。