君は何を思う (ページ24)

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２３話ページ24

｢サイド遅い！ボールが出る前に走れ！｣

宮崎キャンプはハードな日程ながら、順調に進んでいる。
石井監督になってから初めてのトレーニングキャンプで、今までのキャンプとは内容がだいぶ変わっているみたい。
選手の反応もそれぞれで、新鮮だと感じてる人もいれば少し戸惑いを感じている人も。

私も、こういうトレーニングキャンプは初めて。
前にいた女子チームでは、県内で泊まり込みの合宿っていう感じだったから。

聖｢お腹空いた～｣

岳｢今日は結構ハードだったよね｣

源｢Aコーチ、剛さんとかヤナさんより厳しいわー。鬼や、鬼｣

練習が終わってホテルに戻ってきて、みんな揃って食事の時間。
各々好きなようにお皿に取り分けて空腹を満たしていく。

私は、監督や他のコーチと一緒のテーブルで、練習メニューの話をしたりしながら食べる。
あーでもないこーでもないと話していると、だんだん熱が入ってきて食事そっちのけで話しはじめたりして(笑)
気づいたら、せっかく取り分けたご飯が冷めてることもよくある。

優｢Aコーチって結構大食いなんすね。それとも石井さんの食べる量が少ないのか……どっちすかね？｣

通りすがりに、優磨が私達のテーブルを覗き込みながらそんな事を言ってきた。

石井さんが｢女性にそういう事を言うもんじゃないよ｣と言うけど、確かに監督より私の方が明らかに量が多い。

優｢だってどう見ても石井さんのほうが少ないっすよね？｣

｢そりゃあ、私も優磨たちと同じように動くからね。しっかり食べないと体もたないし。食事だって大事なトレーニングの一つだよ。体を造るには筋トレだけじゃなくて食事も重要なんだから。好きなものばっかり食べて優磨みたいなぽっこりお腹になりたくないもんねー｣

私の言葉に、優磨は苦笑いして逃げるように去って行った。
ほんとに、優磨は体をもっとしっかり造ればプレーにも安定感が出るんだけどな。なかなか思うようにいかないもんだ。