5僕とエビチリ ページ6
厳つい身体をした細やかな所作の男性に連れられて、大きな和室に通された。
男三人にしては多めの食事が用意されたテーブルの傍に言われた通りに座って大人しくしていると、小学生くらいの二つ結びをした女の子が入って来た。
まさか子供が同居しているとは思っておらず、僕はただ、その子が隣りの台所から五人分の取り皿と箸を取り出し、テーブルに並べていくのを眺めているしかなかった。
「店長とジン太を呼んできます」
「！」
驚いた。話しかけられるとは思っておらず、首が折れるんじゃないかというくらいに首を縦に振ってしまった。
テンチョウさんを呼んで来るって言ってたけど、テンチョウさんって誰のことだろうか。あと、ジンタさんも。
もしかして店長のことだろうか。そういえば入口に浦原商店と看板が掛かっていたし、一階は駄菓子屋さんだったような。
云々と考えていると、さっきの女の子がこちらの髪を物欲しそうな目で見つめていた。
首を傾げると、困ったように目線を泳がせてからこちらの横へ来て言った。
「髪、触ってもいい、ですか？」
断る理由もなかったので承諾して身を任せた。
しばらくして薄い栗色の髪をした男性と厳つい男性が入って来て、夕食が始まった。ジンタさんはどうやら眠ってしまったらしい。
自分の髪といえば、あっという間に綺麗な三つ編みが施されていて、女の子は満足げな顔で自分の席へと戻って行った。
そういえば、さっき大人たち二人の会話が聞こえた。
厳つい男性がテッサイさんで、薄い栗色の髪をした男性が浦原さんらしい。つまり、浦原さんが店長さんだ。
二つ結びの女の子は、
「雨、醤油を取ってください」
ウルルちゃんらしい。
それにしても、自分が文句を言える立場でないことは重々承知の上で、唐揚げ・エビチリ・八宝菜にその他諸々って、どうも子供っぽい品揃えなような。
しかもこのエビチリ、ケチャップを多めに使って少し甘めに仕上げてある。
自分はそんなに子供っぽく見えるのだろうかと、眉間に皺が寄った。
「お気に召しませんでしたか？」
眉間の皺を見てテッサイさんが困った顔でそう聞くから、これでもかってくらいに首を横に振った。
悔しいけど、どれも大好きだし、美味しい。
「お気に召さなかったらこんなに食べませんよ。多めに作って正解でしたね」
そう言って浦原さんは笑った。
急に恥ずかしくなって、顔が真っ赤になるのが分かった。確かに、自分は案外子供っぽいのかもしれないなと思った。
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勝己 - とても面白かったです！更新待ってます (2020年2月29日 17時) (
レス) id: c1007a61f7 (このIDを非表示/違反報告)
にんじんしりしり(プロフ) - 紅弥さん» コメントしていただきありがとうございます。忙しく、更新ができない状況でした。明日、8話を更新いたします。もうしばらくお待ちください。 (2018年7月30日 0時) (レス) id: db9f040bb6 (このIDを非表示/違反報告)
紅弥(プロフ) - とても面白い作品で、読んでいて楽しいです。更新待ってます (2018年7月29日 1時) (レス) id: e562ecd9eb (このIDを非表示/違反報告)
にんじんしりしり(プロフ) - 柚子さん» 感想ありがとうございます。面白いと言っていただけて、嬉しい限りです。今後の更新をお待ちください。 (2017年9月4日 23時) (レス) id: b1791a5cf3 (このIDを非表示/違反報告)
にんじんしりしり(プロフ) - 恋雪さん» 感想、並びに応援ありがとうございます。大変励みになります。 (2017年9月4日 23時) (レス) id: b1791a5cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にんじんしりしり | 作成日時：2017年6月15日 23時
