心 × inar

リハビリ ページ4

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有｢…んんー、あーぁ…｣

伊｢大ちゃん、どうしたの？｣

有｢うぅぅ、できない、｣





どうやらネクタイを一生懸命結ぼうと頑張ってたみたい。
…ふは、かわいい。笑






伊｢やってあげよっか？｣

有｢やだ、…自分でやるの、…んん｣

伊｢…じゃぁ、オレと同じようにやってみよ？｣






目の前で、鏡になるように ゆーっくり一つ一つの動作を止めながらやってあげる。






有｢……、できたぁ！｣

伊｢すごいね！大ちゃん一人で出来ちゃった！｣

有｢ありがとー、…えへへ｣






子どものときのまま。
大ちゃんの心が追いつくまで…。

オレ的にはすごく可愛くて このままでいいんだけどね？







有｢いのちゃ、…てぇ！｣

伊｢ん？…あぁ､手ね、笑｣

有｢くふふ……あのね、いのちゃんの手、すきっ！｣






ちなみに、転校してきた小五の時は児童保護施設に助け出されてからすぐの事だったらしく…

あの事件で退院したあとしばらくは、人間恐怖症にさらに拍車がかかってオレにも拒否反応を見せた。







有｢……ぎゅー！｣

伊｢だいちゃん、笑｣





手をにぎにぎしてた大ちゃんは、飽きたのか首に抱きついてくる。笑


でも、やっとそれが出来るようになったんだ。
だから…小さい頃に出来なかったことを、今いっぱいしてあげる。



高校になってから一人暮らしを始めたオレは、施設に住んでた大ちゃんと一緒に暮らすことを施設長と大ちゃんに話したら、即決してくれた。


…信頼されてて良かった、と心底思ったよ。






伊｢そろそろ学校行こっか｣

有｢んんーん…やぁだ｣

伊｢今日体育あるよ？この前出来たやつ、オレもう一回見たかったなぁ……大ちゃん来ないんじゃ、もう見れないんだ､､｣

有｢！……いのちゃ、いくっ。…手！｣

伊｢はいはい、笑 ｣





小柄で顔も幼い大ちゃんは、こういうことをしてても
可愛いねって言われるからさ、こっちまで嬉しいよね。笑







伊｢…今日は、オレの友達とお話してみようね｣

有｢…………いのちゃんがいい…｣

伊｢大丈夫だよ、会わなくていいの。まずは、電話だけ、ね？オレも一緒にいるよ？｣

有｢ふぇっ…、だっこ、…？｣

伊｢ふはは、いいよ、しててあげる｣







毎日、少しずつ。
人に慣れていくリハビリ、頑張ろう？




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