心 × inar

何でもない日とスーパーマン ページ43

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有｢いのちゃ、…みて、アリ！！｣

伊｢ほぁ？…アリ？…｣

有｢うん、アリさん！…いのちゃん、アリさん かいたい！｣





朝早く起きたらしい大ちゃん。

例のごとく、オレの布団に潜り込んでオレは抱き枕と化していた明け方、4時51分。




『おさんぽ！！』

の一言で起こされた、オレ。笑






伊｢えぇー？アリさんは飼えないよ？｣

有｢なんでぇ？｣





家を出てすぐのところに、アリの行列を見つけたらしくて、しゃがみこんだと思ったら…。

まさかの、アリを飼うと。








伊｢アリさんが必要なご飯、準備できないし｣

有｢、……アリさん、ばいばい｣







すんごく名残惜しそうに離れてくれた。笑







伊｢でもだいちゃん、虫嫌いだよね？笑｣

有｢むし、やだ！…アリさんは、むしじゃないよ！｣

伊｢…そっか笑｣







大ちゃんのお兄さんのお墓参りに行ってから数日、
なんだかスッキリしたような顔の大ちゃん。

お兄さんのことで魘されることも無くなったから、少し安心。



あとは…少しだけ今までと変わったことがある。








有｢…｣

伊｢だいちゃん？どしたの？｣

有｢んーん。……おにいちゃんね、すっごい つよいんだよ！｣

伊｢そうなの？｣

有｢うん！かっこいいんだぁ…｣







お兄さんの話をよくしてくれるようになった。

それは苦しそうではなくて、ただ懐かしむように…心の奥底で蓋をしてたものを解放するように…。









伊｢そっかぁ、いいなー、オレも だいちゃんのお兄ちゃんみたいに強くなりたいなぁ｣

有｢？…いのちゃんは、つよいもん｣

伊｢え？笑…オレそんな強くないよ？喧嘩なんて無理だし｣






そう言うと、大ちゃんは小さい子がするようにドン、と抱きついてくる。笑






有｢んーん、…おれの すーぱーまんだもん！｣

伊｢スーパーマン？……だいちゃんのスーパーマンになれてるの？オレが？｣

有｢小がっこう のときから、ずぅーっと、すーぱーまんなの、えへへ｣





そんな事を思ってくれてたなんて、嬉しい。




有｢おれも、いのちゃんみたいに…かっこいくなるんだぁ、だいきんぐ、なるの！！｣

伊｢ふふっ、そっか｣






だいきんぐ、てのが少し気になったけど。笑

可愛いから何でもいい、笑






伊｢行こっか｣

有｢うん！｣






大ちゃんの心は、多分…お兄さんが亡くなった頃で止まってる。
全てをシャットアウトする程、辛かった過去。




…心のスーパーマン、なれるかな。

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