近くて遠い Daiki.A

40 ページ40

『服装の話？』




有岡「そうだけど」









なんだよそれ！









有岡「やっぱPTAって大事だよな！」




『TPOね』




有岡「あー、それそれ」




『ばーか』




有岡「なんだと。おりゃっ」




『ぎゃー！やめてー、落ちる！』









狭い遊具の上で、ふざけて私を揺らす有岡。


でも、本当に落ちないように、
しっかりと腕をつかんでて、ちゃんと背中にも手を添えてくれてる。


こういうところ、好きなんだよな。









有岡「こういうのも、たまにはいいよな」




『え？』




有岡「ほら、なかなか仕事以外で会うことないじゃん。」




『あー、そうだね。他の部署の人とか話す機会ないもんね』









社内交流の場としての話だと思ってた。



そしたら、有岡は「ちげーよ」って。









有岡「お前のことだよ」





『私？』





有岡「私服とか。初めて見たかも。」








確かに。


仕事の時は、いつもスーツか、
少なくとも、こんなにカジュアルな格好をすることはないもんね。







有岡「意外と女子じゃん」



『デニムとスニーカーなのに？』



有岡「そうなんだけど、サイズ感かな？かわいいと思うけど。」



『かわいいっ！？』









この男は‥、

またそういうことを言う。








有岡のことが好きだって自覚したら、

急に、なんでもないことが耳につき出しちゃって、

ほんと、どうしよう‥。








『あ、有岡は‥、あれだね。サイズ感。』



有岡「ん？」



『間違えて大人用のところで買っちゃったのかな？』



有岡「うるせー！大人だわ！」







動揺してるってバレないように、そんな悪態をつけば、

怒ったふりして、また落とされそうになって、

ギャーギャー騒いでる途中に、

聞こえるか聞こえないかわからないくらいの声で


「かっこいいよ」


って言ったら、


「ばーか」


って返された。









今、照れてたでしょ。



わかりやすいね、ほんと。




でも、そういう素直なところ。









大好きだよ。








.

41→←39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す