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誰かを好きになるって、
嗅覚まで刺激されるんだな。
有岡「早く登ってこいって!」
ガキ大将みたいに、
遊具のてっぺんで笑う有岡。
『そんな高いところまで上れないよー』
ひょいひょいっと、身軽に進んでいく有岡に、
なんとかついていきたいけど、
日頃の運動不足は拭えなくて、体がうまく持ち上がらない私。
有岡「ほら、つかまって」
握手をしたり、ハイタッチしたり、
今まで、仕事でなにかあるたび、何度となく触れてきたその手。
何気なく差し出されたその手に、
今は、
こんなにもドキドキするよ。
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『わあっ‥』
一番上まで上ると、
そこには、今まで見えていた景色とはまるで違う世界が広がっていた。
『ひろいねー』
有岡「だな。あ、BBQ見えんじゃん」
遠くの方に見えたのは、私たちがさっきまでいたBBQ場。
ビンゴが始まっているのか、一ヶ所に集まっているのがわかった。
有岡「今日、ごめんな」
その時、
それまでずっとはしゃいだ声を出していた有岡が、
急に声のボリュームを落として、
俯いたまま言った。
有岡「ほったらかしにして」
子犬が、飼い主の機嫌を伺うように、
前髪の隙間から、潤んだ黒目を覗かせる有岡。
もう、そんなこと、
すっかり忘れてたのに。
『いいよ。せっかく来たんだもん。いろんな人と遊ばないとね。』
そもそも、社内交流の場として設けられたイベントだもん。
言わば、知らない人とお近づきになるための場所。
むしろ、
誰とも話せない私が悪いんだ。
『よかったじゃん。モテてたみたいだし。』
これは、精一杯の強がり。
こうでも言っておかないと、
なんだか自分が、どんどん惨めになっていく気がするから。
有岡「別にモテてねーよ」
ふて腐れたようにそう言った有岡が、
不安定な遊具の上で、
こちらへ体を向けるように座り直した。
有岡「俺は、こうやって一緒に全力で遊べるお前の方が好きだから」
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mika(プロフ) - べーちゃんさん» コメ返遅くなってごめんなさい。移行後もどうぞよろしくお願いします。できるだけ毎日がんばりますねー! (2018年6月2日 8時) (レス) id: b0866ddde2 (このIDを非表示/違反報告)
べーちゃん(プロフ) - 2人が楽しそうに遊びましたね!日焼けドンマイ、主人公ちゃん!!毎日(?)の更新、楽しみにしています!!(^。^) (2018年5月30日 23時) (レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - べーちゃんさん» べーちゃんさん、コメントありがとうございます!まさかコメントをいただけるなんて!嬉しいです。ビックリです。そして、とっても励みになります!ここからもっと二人が近づいていく予定なので、楽しんでもらえればうれしいです。 (2018年5月21日 17時) (レス) id: b0866ddde2 (このIDを非表示/違反報告)
べーちゃん(プロフ) - 主人公と有岡くんの関係が面白いです!笑 二人の会話を読むのは楽しいです。これからはどうなるか気になります(*´∀`)♪ (2018年5月21日 15時) (レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mika | 作成日時:2018年5月13日 13時